私家版数学勉強法2

といって高校生以下の話ではなく、大学生以上の話。
ただし、私は一般人(もちろん、数学者ではない)なので、何の根拠もなく、
自分だけの経験に基づく推測三昧で。
 
前回、解析の話をしたが、読み返すと、「なぜ、実数の定義にかなりの紙数を
割くのか」に関する自分なりの答を書くべきかと思った。
それは、つまり、言ってしまえば、実数こそ微分積分の扱う対象の基本であり、
したがって、それをしっかり定義する必要があるから、ということになる。
でも、それだけじゃ、あんまりなので、素人ながら、突っ込んで書いてみよう。
間違ってたらごめんなさい。
 
たとえば、微積分では、「連続関数」とか「微分可能関数」というものが
重要である。当たり前ですね。微分可能関数の定義は、連続関数の定義が
理解できるなら、理解できるはずなので、したがって、まず、はじめに攻略
すべきは連続関数ということになる。
 
ところで、たぶん、普通の人は、連続関数というものを、実に平凡で当たり前
の存在と感じると思う。「中間値の定理」などは、高校生でも(証明なしだが)
使ってしまうものだから。
ところが、連続関数の「連続」という概念は、あまり当たり前ではない。
たとえば、「無限に振動している関数」などは、常識に従って考えるだけでは、
連続しているのかどうなのか、よくわからない。
(sin(1/x)は、原点で連続ではない。)
で、この「連続」という性質は、実は(と言うか、考えてみれば当たり前だが)
「実数の連続性」という実数の性質と、ダイレクトに関係している。
だからこそ、実数の定義をちゃんと勉強しておく必要があるのだ・・・とは
言わないが、こんなところから「も」実数の性質をはっきりさせておく必要が
あるのだと思う。
 
ところで、実数の定義の仕方はどうやら複数ある。
が、実は、どれも同値らしい(「解析入門I 杉浦光夫著」には、私の知る限り
の定義が同値であると書いてあった)。
どうせ同値なんだから、そのうちの1つを学べば、簡単かもしれない。
実際、私は、大学時代そのうちの1つのみ(完備化という流派)を学んだ。
しかし、どのような定義を採用するか、本によって違うと、初心者は混乱する。
初心者は、授業がわからないと、参考書を探しに行くものだが、その参考書と
授業の出発点が(一見の違いだけだが)違っていると、かなりつらい。
(少なくとも私は、自分が学んだ方法と有名なデデキントの切断という方法が
 まったく違うものに見えたので、とても混乱した。)
 
「解析入門I」は、複数の定義方法が同値であることを比較的詳しく示して
くれているので、私は、遠い日の混乱を、今、おさめることができた。
しかし、大学1年生の私が、仮に、この本を見たとしても、そんなにゆっくり
読むことはできなかっただろうと思う。もっと混乱したかもしれない。
この辺は、「上のような話(見通し)を誰かがしてくれていたら・・・」と思う。
が、そんなことを、今言ってもはじまらない。
 
いずれにしても、一般に、解析の本では、最初に「実数の定義」(+数列・級数
の話がどっさりあるが、それは、上のような理由であると思う。
「解析入門I」は、複数の定義の関係まで書いてあるので、さらに大部である。
ということだ。
が、「解析入門I」は、「実数の定義」(第I章)を苦心して読めば、そのあとの
展開は読めるように思う。