つかむまで 最終回

範囲は、受験期の中学の数学で、比較的小さな分野にしぼった場合。
 
たとえば、それが「三角形の合同」というものだったとしよう。
その場合、利用できるのは、分野別の問題集だろう。
そういうのを見ると、その分野の問題がたくさんあって頼もしい。
そいつらをかたっぱしから解けば、きっと、コツもつかめるだろう。
 
が、ちょっと考えたい。
そういう問題集は、大抵、非常によく系統立てて問題をならべている。
だから、本当に順番に解いていけばよさそうだが、そのときの意識の持ち方が重要だと
思うのであるから、こんなことを書いているわけである。
 
中学生はどんな風に思って、その問題集を解くのだろうか。
それは、実際のところ、人さまざまだと思う。
たとえば、その問題集を「パターン集」ととらえ、「そのパターンを全部身に
付ければ、たいていの入試問題は解ける」と考えるかもしれない。
それは、正しいと言えば正しいのだろう。
が、そうでもないと思えるのだ。
 
確かに、そういう問題集はパターン集に見える。
しかし、「パターンを身に付ければ・・・」という発想では、
 ・すべてのパターンを身に付けるのに時間がかかる。
 ・知らないパターンがでたら大変。
だろうと思う。
実際、人はそういうことをウスウス感じてしまうので、不安にもなるだろうと思う。
 
私は、ほんのわずかな心の持ち方を論じているのだ。
で、私は、「色とりどりのすべてのパターンを身に付ける」という発想をすてた方が
よいように思うのだ。
むしろ、パターンはうんと数少ないものだ。
たとえば、平行線がこんな風に絡んでいる場合とか、正三角形のこの性質を使う場合とか、
ナントカ定理を使う場合とか、問題集はいろいろ見せてくれるが、それらを個別の
パターンとして覚えていくと、きりがないだろう。
それより、たとえば、三角形の合同なら、しょせん、3パターンしかないと思った方が
すっきりするのではないだろうか。
(えーと、三辺が等しい、二辺とその間の角が等しい、一辺とその両端の角が等しい。
 ただ、直角三角形の場合を別に考えると、あと1つ増えるかな。)
 
そうして、どの問題も、その最後の3(か4)パターンにどう持っていくかで考えてみると
よいのではないだろうか。
(それは、相撲で、決まり手に持っていくようなものだろうか?)
もっと言えば、その3、4パターンは、全部、「三角形の合同条件」と言えるので、
そう数えれば、パターンは1つだけ。あるいは、パターンなんかないのである。
そんな風に考えて問題集を使った方がコツがつかめるように思うのである。
 
私はパターン別の問題集を否定しているのではない。
むしろ、大変ありがたい存在だと思っている。
しかし、勉強する側は、「それらのパターンは見かけのパターンであって、その背後に
あるほとんど唯一の構造を見よう」と強く思うべきだと、思うのである。 
 
この話はここまで。