数学ができるようになるためのたった1つのこと3

それは、次のような問題が解けること。
 
 基本問題
 長さ1メートルの棒を 3 : 2 に分割しました。
 それぞれの長さは何cm?(答、60cmと40cm)
 
ポイントは、「1つのものを2つの数値で表して考えることができるか」
ということだ。
上の基本問題では、1つの棒を100cmという数値と「3 + 2」という数値で
表して考えることができるか、ということになる。
それが、ちゃんとわかっているかは、「変形したものでも解けるか」を
見ればわかると思う。以下、その変形を、ランダムに。
 
・「もの」が違ってもできるか
「100円を兄と弟で 3 : 2 にわける」
 
・2つ以上に分割してもできるか
「1mの棒を 5 : 3 : 2 に分割する」
 
・割り切れなくてもできるか
「1mの棒を 4 : 3 に分割する」
 
・整数値でなくてもできるか
「1mの棒を 3.1 : 2.6 に分割する」
「1mの棒を 1/3 : 1/5 に分割する」
 
・手順を増やしてもできるか
「1mの棒を最初に半分にして、片方をさらに、3 : 2 に分割する」
「1mの棒の70%を 3 : 2 に分割する」
 
・裏返しでもできるか
「ある長さの棒を 3 : 2 に分割したら短い方は40cmだった。
 もとの棒の長さは?」
 
・総合
「ある長さの棒の70%を切り出し、それを 1/3 : 1/5 に分割したら、
 短い方は105/4cmだった。もとの棒の長さは?」
 
最後の方になると確かにめんどうだが、考え方がしっかり身について
いれば、「ああ、めんどくせー」と言いながら解けるはずだ。
 
上記の問題は一見比の問題だが、、、と言うか、確かに比の問題だが、
私が言いたいのは、「比の問題を解くアルゴリズム」を覚えることが
重要だということではなく、最初に言ったように、
「1つのものを2つの数値で表して考える」感覚が重要だということだ。
個人的には、はじめに線分図を書いてみせることは有効だと思う。
ただし、それに頼り切らないように。
 
ちなみに、子供にやらせてみて、上の「総合」ができなかった場合
どうすればよいだろうか。
たぶん、次のような「対策」が考えられる。
 
・簡単な例に戻り、その上で再度「総合」にチャレンジさせる
・明快なアルゴリズムを示し、それにしたがって処理させる
 
受験塾などでは、たぶん後者が多用されると思う(推定で根拠なし)が、
私は、時間がある限り前者がよいと思う。
また、年齢や状況によっては、無理に上記の「総合」を解かせる必要は
ないと思う。「中学校でのハッピーな数学ライフ」に必要なものは、
上記の「裏返し」までだろう。
したがって、「総合」に関しては、
 
・最初から出題しない
・親が解いて見せるだけで終わらせる
 
という方法も考えられる。
(このブログを参考にしている方なんかいないと思いますが、そういう
 奇特な方がいた場合、どうか、「総合」をいきなりお子さんに出題し、
 「できなかったらしかる」などということはされないように。
 これは、私が主張するポイント以外に、ガマン強さや計算力を問う
 問題にもなっています。
 それは、のんびり身につけてもらえばよいわけですから。)
 
それにしても「比の問題」だと思われるかもしれないので、別の例。
たとえば、「単位の変換」(1m = 100cm)も、「1つのものを2つの
数値で表して考える」である。そうでしょ。
また、速さの問題もそうである。
 
 基本問題’
 1km離れた道のりを歩くのに10分かかった。
 2km歩くのにかかる時間は何分?
 
え?簡単?確かに。
でも、これも、「道」に、「距離という数値」と「時間という数値」を
当てはめるという意味で、基本問題と同じものである。
そして、変形をいろいろ考えていけば、結構やりがいありますぜ。
 
なお、「1つのものを2つの数値で表して考える」もので、子供時代に
出会うのは、基本的に、「2つの数値が比例するもの」だと思う。
そうでないものもいずれは理解してほしい。
(すると、同相とか同型とか一般相対論とかになる。)
しかし、まずは、「比例するもの」で十分なはずだ。
(だから、結局、みんな比の問題になってしまふ。)
 
で、こういうことが、どうして数学ライフで重要かは、続く。
まあ、もう、そんなに話すことはありませんが。