名前を言う数学教育法2

前回言いたいことは全部書いた。
今回はおまけ。
 
方程式を解くときに、「移項」という名前(言葉)を意識して使うといいのでは
ないか、という話を書いた。
同様に、等式とか変数とか方程式とか、そういう名前は大事だと思う。
 
「はい。方程式だね。何を変数にしようか」なんてね。
 
私が言いたいことは、そういう名前を友達の名前のように、すぐ出せるよう、
そして、すぐ使えるようにしよう、ということだ。
(「サッカーのルール?じゃあ、山田だ。山田に聞こう」みたいに。)
 
別の例を挙げたい。たとえば、「角の二等分線」。
図を描くと、たぶん、誰もがすぐわかった気になれる。
「わかった気になる」は、勉強の第一歩として極めて重要だから、それはそれで
いいことだと思う。
 
ただ、そのとき、一緒に、名前をきちんと覚えちゃった方がいいということなのだ。
図を見ると、単純そうなので、わかった気持ちになれる。しかし、
 簡単 → 名前を覚えるまでもない
という連鎖を引き起こしてはしまってはまずい。
 
実際のところ、角の二等分線は、やさしくない。
これは、「角の2つの辺から等しい距離にある点の集合」でもある。
そして、作図のちょっと難し目の問題は、こういう事実をよく理解していないと
できないのである。
(つまり、図を見て「なんだ簡単」と思っているだけでは、たぶん足りない。)
 
この「角の二等分線は角の2つの辺から等しい距離にある点の集合」という話自体は、
まじめに取り組めば、別に難しいことはない。
しかし、こういうことを考えているときに、当の「角の二等分線」という名前が
あやふやだとよく考えられないだろうし、頭にも残らないだろうと思うのだ。
その名前は、そう「角の二等分線」である。
 
何が言いたかったかというと・・・。
角の二等分線など、「数学的対象」には、名前と定義と性質とプラスアルファがある。
(例:
 名前 角の二等分線
 定義 角を二等分する半直線
 性質 角の2つの辺から等しい距離にある点の集合
 プラスアルファ 作図方法 )
そして、これらをちゃんとおぼえていないと数学はできるようにならない。
 
そのために、名前をしっかりおぼえよう(おぼえさせよう)ということである。
 
終了っす。