自分と子供たちのための数学勉強法11

(私の考えの)復習。
子供が数学で学ぶべき「公式」は、とても少ない。
しかし、「公式」そのものではなく、それをどう利用するかなど、
「基礎的技法」とよばれる(私がそうよぶ)「知識」がある。
「基礎的技法」は、教科書などでは、明示的に示されないことも多い。
「基礎的技法」の分量は、それなりにある。
「基礎的技法」は、知っているだけで使えるものではない。
「基礎的技法」を使いこなせるようになることを、「基礎的技能を身につける」
などと(私は)いうが、基礎的技能を身につけるには、それなりの訓練が必要である。
子供に与えられる数学の問題には、「ミエミエの基礎的技能訓練問題」と
「応用問題風基礎的技能訓練問題」がある。
(以下、「ミエミエ」と「応用問題風」と略記。)
「ミエミエ」は、「公式の直接的適用」に関する訓練のための問題で、
「応用問題風」は、「公式のヒネッた適用」およびそれらの「組み合わせ」に
関する訓練のための問題である。
以上、復習終わり。
 
さて、要するに、いずれにしても、訓練が必要なのだ。
そこで、子供に勉強をさせる場合、いくつかのプランが考えられる。
可能性だけで追求するといくらでも考えられるので、「ありそうなもの」だけを論じる。
 
○プランA
 精選した「ミエミエ」のみを、ゆっくりやらせる。
 「応用問題風」はあまりやらせない。
 
「精選した」とは、つまり、「数多くはやらせない」という意味だ。
これは、つまり、「ゆとり教育式」だと思う。
この方式では、一般には、「応用問題風」でのみ得られる技能が身につかないと
思われるので、私は、賛成しない。
(しかし、公立学校など、時間数が少ない学校では、プランAしか実行できない
 かもしれない、、、。)
 
○プランB
 はじめに「ミエミエ」を徹底反復でやらせる。
 それから「応用問題風」をやらせる。
 
いわゆる、徹底反復式(の単純形)である。
「ミエミエ」は、本来、わずかな時間でできるべきであり、また、訓練によって、
そのようにできる。
そこで、まず、「ミエミエ」を、徹底反復でやらせるわけである。
たとえば、単純な計算問題を2分で100問とか。
ただ、同じ問題の「徹底反復」の代わりに、「毎回新しいものを与える」という
方式もあり得る。
以前にも書いているので、ここでは繰り返さないが、私は、「反復」の方が、
かなり効果的だと思う。
しかし、それは「効果」の大小であって、それほど大きな違いはないとも思う。
 
一方、プランBには、「応用問題風」をどれくらいやらせるか書いていない。
これは、ケースバイケースとしか言いようがないからだ。
「徹底反復」を批判する人の中には、「応用問題風」の不足を心配する人もいる。
これも、ケースバイケースとしか言えないが、一般に、「徹底反復論者」は
「応用問題風」を軽視しているわけではないと思う。
もちろん、「ミエミエ」だけでは、足りないはずだ。
 
○プランB’
 1 「ミエミエ」を徹底反復でやらせる。
 2 「応用問題風」をやらせる。
 上記1、2を繰り返す。
 
もちろん、プランBのバリエーションにすぎない。
 
「1と2の割合はどうするか」や「どのくらいの頻度で繰り返すのか」、
また、学年が上がるにつれ、「ミエミエ」を変えていくかどうかなど、
いくらでもバリエーションができる。
たとえば、「1と2を1回の指導時間中にやる」から、「1を数ヶ月やって、次に、
2を数ヶ月やる」とか、、、。
 
○プランC
 はじめに「ミエミエ」を(多くなく)やらせる。
 それから「応用問題風」を大量にやらせる。
 
これが、代表的な「アンチ徹底反復式」だと思う。
「応用問題風」は、必然的に時間がかかるので、一度にわずかしかやらせられず、
また、ゆっくりやらせることになると思う。
たとえば、1日2、3題とか、極端な場合、1週間に1題だけとか。
理想は、精選した「応用問題風」を少数だけ、ゆっくりやらせる、、、と言いたいが、
「基礎的技能」の獲得には、それなりの訓練が必要なので、結局、「大量」にやらせ
なければ意味をなさないと思う。
また、そうすることで、「ミエミエ」の練習不測を補うこともできる。
 
で、こう言うと怒られてしまいそうだが、「アンチ徹底反復」の多くの方は、
「ミエミエ」の「アンチ徹底反復」であって、実は「応用問題風」の「徹底反復論者」
だったりすると思う。(もちろん、全員ではない。)
技能を身に付けるには、いずれにしても、反復練習が必要ではないだろうか。
 
○プランC’
 1 「ミエミエ」を少しだけやらせる。
 2 「応用問題風」をやらせる。
 上記を1、2を繰り返す。
 
これは、塾講師時代の私のやり方である。
もちろん、プランCのバリエーションである。
 
私は、塾講師時代、アンチ徹底反復式だった、、、というより、徹底反復方式など
というものは、知らなかったし、考えもしなかったのだ。
 
これで、代表的プランの説明は終わり。
で、プランB〜プランC’の中でどのプランが良いか、、、というと、それは、一概には
言えないと思う。
当然、生徒の能力や性格に依存するだろうし、時間の制約もある。
さらに、指導者の嗜好も重要だと思う。
しかし、「一概には言えない」だけで終わらせれば、これまた、あまり意味が
なさそうなので、もう少し、確定的な何かを言えるまで考察をしたい。
 
ところで、私が、塾講師時代、プランC’を採用していた理由。それは単純だ。
私は、「ミエミエ」はつまらない、と思っていたからだ。
「こんなつまらないものをいつまでもやらせていたら、子供たちはすぐに数学嫌いに
なってしまうだろう」と。
 
そんな私に、徹底反復論が衝撃的だったのは、「ミエミエ」の徹底反復も、工夫次第で、
いくらでも楽しくなるということだった。
ポイントは、時間を計ることと、ほどよい競争原理の導入だと思う。
 
「徹底反復方式」の利点は、いくら強調しても足りないくらい重要だと思う。
だからこそ、私は、このブログでも、布教者の末席にいるのだ。
が、「時間を計る」「(友達とか過去の自分と)競争する」では得られない、
「数学の楽しみ」があることは間違いない。
私には、その点に関する考察が欠けていたのだ。
 
続く。