自分と子供たちのための数学学習法8

これまで書いてきたキモチを伝えるために、ちょっと例題を。


簡単ですね。すいません。
答は、どれも、「同じ大きさ」ですね。はい。すみません。
 
これまで「ミエミエの基礎的技能訓練問題」と書いてきたのは、たとえば、上の
問1のような問題のことだ。
小学生なら、まじめに2つの三角形の面積を計算して、「あ、同じだ」となる
ことを期待したい。
あるいは、式を書いている途中で、「あれ、形は違うけど、式は同じじゃん」と
気がつけば、優秀、優秀。
そして、よく考えてみると、三角形の面積の公式には、「底辺の長さと高さが同じ
三角形の面積は同じ」という意味があることに気がつくだろう。
できれば、ここで、「形は違うけど面積は同じ」ということの「不思議さ」や
「公式の威力」について思いを馳せてほしい。
 
そして、そのちょっとした応用版が問2だ。
言うまでもなく、△ABCと△DBCは、底辺と高さが同じだから、面積は同じだ。
問1から数値をなくして、抽象度を上げているところがポイントだろう。
しかし、数値がなくなっても、公式は生きているのである。
なお、2つの三角形をだぶらせて描いているのは、もちろん、思考を混乱させる
ため、わざとでもある。
だから、必要に応じて、問1と問2の間に、これらの三角形が、はっきり分かれて
いる問題を見せるのも、教育的によいことだと思う。
 
で、問3。
一応、答を書くと、
 △ABE = △ABC - △EBC
 △DCE = △DBC - △EBC
であるが、△ABCと△DBCは問2と同様に考えて同じ面積。
で、それらから同じ△EBCを引いているので、結局、△ABEと△DCEは同じ面積
ということになる。
普段数学の問題を解いていない大人が、いきなりこの問題を見せられると、
「うっ」となるのではないだろうか。
(問1、問2と順番に見ていれば、やりやすいと思いますが、
 「問1、問2なしで、いきなり問3」という意味です。
 え?そんなにレベルが低くない?失礼致しました。)
少なくとも、多くの子供には、ちょっとした「難問」だと思う。
そして、解けたときは、「やった」という感激を味わえるのではないだろうか。
 
子供の感激は大事にしてあげたい。
だから、そんなときは、一緒に感激してあげるべきだと思う。
しかし、実際のところ、問3は、問1からそんなに違う問題でもない。
この点を少し考えてみたい。
 
問3の質問は、△ABEと△DCEについてだが、その前に、△ABCと△DBCに着目し
なければならない(着目するとよい)わけだ。
それは、なかなか難しい。(いつも書いているが、私は、天才のことは論じない。)
しかし、「応用問題」は、こんな風に出題されるものなのだ。
 
このような問題を解くためには、通常、「ヒラメキが必要」と言われる。
だが、そのヒラメキはどうすれば、得られるのか、あまり聞いたことがない。
と言うか、私は知らない。
 
が、最近思うことがある。
ただ、その話をする前に、1つ言いたいことがある。
それは、問1のような問題を十分(その人にとって十分)解いておかないと、
問2は解けないだろう、問2のような問題を十分解いておかなければ問3は
解けないだろう、ということだ。
(天才なら、問1を1回解けば十分かもしれない。
 そうでない人は、それなりの回数を必要とすると思う。)
それは、つまり、「三角形の面積の公式」をきちんと覚え、使えるようになって
おかなければ、問3は解けない、ということだ。
 
で、「三角形の面積の公式」がちゃんとわかっていれば、問3を解くのにさらに
必要なものは、「質問(△ABEと△DCEについての質問)に答えるために、
直接問われていないもの(△ABCと△DBC)を考える」という思考、となる。
確かに、この辺には、ヒラメキとよばれるものが必要なのかもしれない。
が、私は、これも、(ある意味)単純なものであるように思える。
(先回りして言っておくと、そのヒラメキも、「訓練によって得られるもの」
 ではないか、ということである。)
 
以下、続く。
あ、そうそう、その前に一言。
私は、問3のような問題を、「応用問題風基礎的技能訓練問題」とよぶ。