自分と子供たちのための数学勉強法5

私は、数学の勉強(授業ではない)自体は、大雑把な理解のもと、
 
 基礎的技能を身につける
    ↓
 応用問題を楽しむ
 
のように進むと思っていた。と書いた。
このような「理解」には、
 「基礎的技能を身につける訓練はつまらない」
 「応用問題を解くのは楽しい」
という考え方が付随している。
 
これは、実際のところ、「正しい」と思える。
運動にしても、普通の人は、基礎トレはあんまり楽しくないだろうし、
試合形式に近い練習、あるいは、試合そのものの方が楽しいのではないか。
しかし、「そうでもない」とも思えてきた。
 
現に、私は、最近、(現代数学の)基礎技能訓練をおもしろいと感じる。
その理由は、何だろうか。
第一の理由は、基礎的技能訓練の先が見えてきたからである。
集合や写像の基礎的な性質をちゃんと確認しておくことは、数学の勉強に
役に立つと確信できた。だから、将来、自分が颯爽と数学の本を読んで
いる姿を思い浮かべたり、あるいは、何か定理(もどき)を見つけたり
している姿を思い浮かべつつ、基礎トレができるのだ。
(↑こう書くのは、かなり恥ずかしいですぜ。)
 
それでは、子供はどうだろうか。
子供に、「これは将来の役に立つから勉強しなさい」と言って、
勉強のモチベーションを持たせることは可能だし、必要だとも思う。
が、そのような「訓示」で、子供のモチベーションが、ずっと維持
されることは、期待できない。
(「訓示」を繰り返せば、反発されるだけだろう。)
 
大人は、過去を振り返りかえることで、未来を考えることができる。
しかし、過去らしい過去を持たない子供には、未来も、また、ぼんやり
したものだと思うのだ。
 
「将来のために、今、勉強しよう」なんて、本気で思えるのは、
「ああ、あのとき、もっと勉強しておけばよかった」なんていう経験
をした大人だからであって、子供には無理だろうということだ。
 
一応言っておくと、私が、「現代数学の基礎訓練」にモチベーションを
持てたのは、実際に、基礎訓練の先にある代数の本(など)を眺めて
きたからである。
つまり、少しだけ(ほんの少し)、自分の「未来」を見てきたからだ。
このように、「未来」が見える(まあ、それは、大抵勘違いだが)のは、
やはり、経験を持っている大人の特質だと思う。
 
さて、さて。
 
それでは、逆に、問いたい(あ、自分にですよ)。
基礎技能訓練そのものは、本当につまらないだろうか。
はっきり覚えているわけではないが、分数の計算がはじめてできる
ようになったとき、うれしかったような気がする。
(子供たちも、うれしそうだったように思う。)
それは、「分数は将来役に立つぞ」と思ってうれしかったのだろうか?
否、であろう。
分数の計算ができて、単純にうれしかったはずだ。
また、子供が楽しいと感じる(少なくとも、子供時代の私が楽しいと
感じた)「応用問題」とは何だろうか。
考えるまでもなく、それらは、大した「応用問題」であったはずがない。
所詮は、「子供の問題」に過ぎないのだから。
 
続く。