私家版数学勉強法4

あくまで私家版。
 
「解析入門I」を読んだ頃、志賀浩二先生の「数学が育っていく物語」も読んだ。
この本は、本格的な数学書ではなく、「数学のココロ」を教えてくれるような本だ。
これを読んで、「解析入門I」を読むのに直接役に立ったということはないのだが、
モチベーションを上げるのにはおおいに役に立った。
たとえば、「ロルの定理が出版されたのは1691年だが、平均値の定理が現在知ら
れているような明快な形で述べられたのは1820年代に出版された本の中(コーシー
による)だった」という記述があるが、このような指摘が、私をどれだけ励まして
くれたかわからない。
ロルの定理から平均値の定理までは、授業なら、十分程度の行程だ。
しかし、その間には、百数十年の研究があったのだ。
そう思うと、厳かな気持ちで、「解析入門I」が読めた。
また、よくわからなくても、「な〜に、100年以内に理解できればいい」とも思えた。
 
「数学が育っていく物語」がとてもよかったので、私は一計を案じた。
実は、次は「代数入門 堀田良之著」を読みたかったのだが、前に一度挫折している。
その理由は、「前回書いた理由」もあるのだが、他に、その本に何度か登場する
「ツォルンの補題」にめげたということもあった。
(他の理由もあるが、それはまた今度。)
「もしかすると、志賀先生がよい本を書いてくれているのではないか」と思ったのだ。
探してみると、あった。
「無限への飛翔 集合論の誕生 (大人のための数学 3) 」である。
題名からして、本格的な数学書ではないと思うのだが、とにかくわかりそうだと
思って購入した。(息子に、集合を教えてくれと言われてたのもあるのだが。)
 
その結果、ツォルンの補題がわかった...とは言えない。
しかし、「何が問題になっているのか」はわかった。
「代数入門」を読みきることができたのには、この感覚に負うところが大きい。
 
それにしても、私は、大学で、ツォルンの補題選択公理)について、ちゃんと
習った覚えはない。教えてくれてもいいのではないだろうか。
(数学者の中にも嫌がる人がいるのかな?)