カタカナ英語に強く反対する

先日、上司に、「カタカナで英語が話せる」という類の本を紹介された。
とても興奮して、「この本はいいですよ!」と。
私は、あまり人の批判はしたくないのだが、
 
 カタカナで英語は話せない
 
とだけは断言したい。
新式カタカナ英語では、たとえば、hospitalは、ホスピタルではなく、
ハスペロウと発音するそうだ。
そのような「視点」は、ホスピタルのような従来のカタカナ発音に
凝り固まった人に、自分の間違いを気づかせてくれるかもしれない。
が、そうわかったら、ハスペロウのような新たなカタカナ発音を身に
つけても意味がないと気づくべきだと思う。
 
昔、(日本の)若者が、「チェケラッ」と叫ぶのが流行ったが、それが
「Chek it out!」という英語だとわかったときは、なるほどと感心した。
また、アメリカで「掘った芋いじるなっ」と言うと、アメリカ人には
それが「What time is it now?」と聞こえる...という話もあって、
それもおもしろいと思った。
これらの豆知識は、宴会での話題にはもってこいだろう。
しかし、しょせんは、その程度のものだ。
 
ホスピタルとハスペロウの違いは、イギリス英語のカタカナ化とアメリ
英語のカタカナ化の違いでしかないと思う。
さらに言うと、実験したことはないが、たぶん、アメリカでも、カタカナ
発音でハスペロウと言うより、ホスピタルと言った方が通じやすいのでは
ないかと思う。
(ただし、ホスピタルのルはLの発音で、最後の母音ウを極力発音しない
ようにすべきだと思う。あるいは、思い切って「ル」を言わないとか。)
 
日本語を発音するのに必要な音は、英語や中国語より少ないらしい。
私は専門家ではないが、素朴に、そう実感する。
(韓国語よりも少ないと聞いた。これは、未確認だが。)
音の種類の少ない言語を表す文字で、音の種類の多い言語を表すことは
できない。したがって、カタカナで英語を話すことはできない。
Q.E.D. 証明終了。
だって、そうなんだから、しかたがない。
 
なぜ、こんなことを言い出したかと言うと、私は、そのうちはじまるという
小学校での英語の必修化が怖いからだ。
英語を話せる先生(可能な限り、ネイティブの方がいい)が英語を教えて
くれるなら、願ってもないことだ。しかし、どうもそういう様子はない。
英語が話せない小学校の先生が、お上のお達しで英語を教えるなら、
まだ英語を話せるようになるチャンスを持った子供たちから、そのチャンスを
奪っていくようなものだ。義務教育で。
これは、まるで、日本国に対する絨毯爆撃のようなものではないか。
 
前にも書いたが、普通の教育を受けた日本人の大人なら、「英語を話そう」と
思った瞬間から英語を話せるようになる。
「英語の先生」になった人が、その事実に気づき、カタカナ英語なんかに
ひっかからないことを切に切に願う。
 
あと、もう一言。
これも、未確認だが、新式のカタカナ発音は、たぶんあまり通じないと
思うのだが、通じた場合でも、一部のネイティブの人たちには、
「下品な発音」に聞こえると思う。だって、ハスペロウでしょ?