先取り学習vs先行体験6(一応の最終回)

なんでこんな雑談をはじめてしまったのだろうか。と自問する。
正直なところ、私は、先取り学習が嫌いなのだ。
にもかかわらず、子供たちに数学を教えていることは、事実上の先取り学習になっている。
その辺に、自分なりの正当化がほしかったのかもしれない。
 
「先行体験」とは何だろう。
体験とは、、、「実際に経験すること」。
また、その字面から、「体を使って経験する」という印象も強い。
子供時代の体験は、本当に貴重なものだと思う。
子供はいずれ、日常生活とは離れた抽象世界(数学の世界など)に出会う。
抽象世界に出会う前に、現実世界の体験をさせておけ。
「先行体験」を勧める先生方の主張は、そこにあるように思う。
この教えには、心の底から賛成である。
 
しかし、いずれ進んでいく抽象世界にも、「実際の経験」=体験がある。
そういう体験にも、やはり「先行体験」というべきものがあるのではないだろうか。
そのような体験は、紙と鉛筆で、あるいは、脳の中だけでするものだ。
だから、一見して、それは勉強だ。
学校などで本格的に学ぶ前の勉強なら、それは、実態的に「先取り学習」でもあるだろう。
しかし、それは、指導者の意識次第で、「抽象世界の先行体験」だと思うのだ。
それが、私の結論である。
 
終わり。
 
数学以外に関しては、少なくとも我が家の場合、かなり状況が違う。
これは、元気が出たら、日を改めて。
 
補足:
前に「二次方程式の先行体験はあり得るか?」という疑問を出した。
私の個人的な答は、「ある」だ。
ただし、ケーキを切ったり、買い物をしたりすることと、結びつける必要はないと思う。
(敢えて言うと、石を斜めに投げたときの軌跡と関係あるように思うが、まあ、それは
 「物理の先行体験」だと思う。)
「他の子より先に公式を覚えさせよう」とか、「絶対理解させなきゃいけない」などと
思わずに、心穏やかに、子供と二次方程式について語り合うことができれば、それが
子供にとって「良い先行体験」になるのではないだろうか。