本来の仕事

就職して、「社会人」とは、実に非生産的な書類書きをしなければならないのだと知った。
(学生時代、「形式的な書類」は、誰かが書いてくれていた。)
しかし、それが仕事であり、そういう書類を書くことで給料をもらっているのだと思えば、
苦痛ではなくなった。
結婚して、「夫」とは、ふとんを干したり、ゴミを出したりしなければならないのだと知った。
(一人暮らし中、すべてやっていたことだが、一人で好きにやるのと、「夫」としてやるのでは
 まったく違う。「夫」の仕事は、思考が中断されようが何しようが、やるべきことをやるべき
 ときに、きちんとやらなければいけない。)
はじめは、そういう「雑用」ははやく終わらせて、「本来の仕事」をやりたいと思った。
しかし、すぐに、ふとん干しやゴミ出しこそ、「夫の本来の仕事」であり、「家に持ち込んだ
会社の仕事」の方が雑用なのだと気がついた。
そう思ったら、ふとん干しやゴミ出しが楽しくなった。
(最近、ちょっとさぼり気味だが。)
 
今、仕事の雑用が終わらない。
いや、あれらも雑用ではなく、本来の仕事なのだ。
と、思うことにした。