そう言えば、、、

日本でも似たようなものを見たことがある。
 
病院から駅に向かうバスで、私は一番前の座席に座っていた。
すると、おばあさんが、運転手さんに向かって「止めて、止めて」と騒ぎ出した。
もちろん、バスを途中で止めるなんて反則である。
しかし、その反則をおして言うのだから、余程の緊急事態かとも思った。
おそらく、運転手さんもそう思ったのだろう。ブレーキをかけた。
 
当然急ブレーキなのだが、まず、グッとブレーキをかけ、いったん緩めて、もう一度で止まる、
という感じだった。
おばあさんは、ちゃんと歩けない感じの人だったが、最初のブレーキは手すりにつかまって耐えた。
のだが、いったん緩めたところでなぜか手を放し、2度目のブレーキでひっくり返った。
なんと言うか、本当に、「転んだ」ではなく「真っ逆さま」という言葉が合うような状態だった。
 
私は、その一部始終を直近で見ていたわけだが、手を放した時に「危ない」と思った。
だから、私も手を伸ばしたのだが、届かなかった。
それは、スローモーションのようで、本当に悔しかった。
 
助け起こすと、おばあさんは「病院に薬を忘れた」と言う。
運転手さんは怒った。そして、「バス停以外では止められないんだ」なんてぶちぶち言っていたが、
おばあさんと私を降ろしてくれたので、私が病院まで付き添ったのだった。
で、「具合が悪ければ、忘れた薬を取るだけでなく、先生に診てもらうといいですよ」と言った
のだが、「こんなことがばれたら怒られる」の一点張りだった。
 
素人目には無事そうだったので、私はそこで分かれたのだった。