アメリカ人

アメリカで人が倒れるところを、短い期間で、2回見た。
2回とも、周りの(たぶん)アメリカ人が、ものすごい勢いで助けに行くのを見て感動した。
「あなたは陸上選手ですか?」という、躊躇のない反応だった。
 
1度目は、空港で、たぶん、私が2、3番目に近くにいた。
倒れた人は、東南アジア系(たぶん、アメリカ人ではない)のおばさん。
もちろん、私は助けに走った。躊躇したつもりはない。
しかし、走りながら、「手荷物どうしよう」とか「助け起こしてどうしよう」とか考えてしまった。
が、周りにいたアメリカ人たちは、たぶん、何も考えていない速さで集まってきた。
最終的には、黒人の空港職員(この人もものすごく速くて、エスカレータを走って助けに来た)が
連れて行ってくれ、その手際に感動したのだが、走った人はもう一人いた。
 
それは、私の隣にいた、スーツに黒メガネの「あれ?ギャングですか?」という白人のおじさんだった。
そのおじさんをずっと見ていたわけではないのだが、事が済んで思い出してみると、目の隅にいたのだ。
ギャング風というのは、気取っているとも言えたのだが、そのおじさん、格好なんかどうでもいい大股で
おばさんを助けに行き、職員さんが助けた後も、長くそこに残って顛末を確かめていたのだった。
いや、不良っぽい人が良いことをすると印象に残る、、、ということではない。と思う。
 
2度目は、ニューヨークで。今度の登場人物は全員白人。
たぶん酔っ払いのおじいさんが転んで、その巻き沿いになったおばあさんが倒れて頭を打った。
人込みで私は動けなかったが、周りの人たちの反応はやはりすごく速かった。
真っ先に到着したのは、初老のおっさんで、最初に転んだ、しかしたぶん無傷のおじいさんが、
(たぶん、言い訳か何かで)へろへろしながら近づいてくると、「Back off(離れてろ)」と
静かにドスの利いた声で制しているのが印象的だった。
 
それからふっと周りを見ると、携帯電話をかけている人がいた。
表情から察するに救急車を呼んでいたのだと思う。
実際、救急車は、信じられないくらいすぐに来た。(「え?もう?」と思った。)
 
何が言いたいかというと、「(こういう)アメリカ人って偉いな」ということである。
もちろん、偉くないアメリカ人もいっぱいいるし、いつでも正しい行動がとれるとも言えない。
しかし、あの躊躇ない救助行動は見習いたい。