アクティブラーニングの恐怖5

ちょっと違う方向から考えよう。
で、英単語の宿題の話を再び。しつこいですな。(関西風に言うと、ひつこい。)
英単語を使うのは、わかりやすいからだ。別の例でも良い。
 
さて。
今日教科書に出てきた新しい英単語を5個ずつ書いてきなさい。あとでチェックします。
と、先生はおっしゃる。
 
たくさんの単語の中で1つだけ4個になってしまっても、減点され、成績を下げられる。(実話です。)
そういうことを書くと、ナンセンスとかガラパゴスとかギャクタイとか喜んでしまう(?)人もいるが、
そういうつもりはない。
塾講師の経験者として、そうしたくなる先生のお気持ちはよくわかるのだ。
それは、統率である。統率は自己満足のためではなく、クラス全体の利益のためである。
 
で、A君は単語を書く宿題をやってこなかった。B君はちゃんとやった。
それで、先生はA君を叱る。ちゃんとやりなさい、と。
ここまでは、私もわかる。私もそうするだろう。
 
そこで、テストをやった結果、A君は100点を取り、B君は悪い点(30点としよう)だった。
そんなことはザラにある。ほんとーーーーーに、ザラにある。
そこで、A君は「ほら見ろ。あの宿題は意味がなかったんだ」と、聞こえよがしに大声で言うかもしれない。
私が先生なら、A君を叱るだろう。「意味がないことはないよ」と。
「君には意味がなかったけど、B君には意味があったんだ。君が頭がいいのはわかったから、
 頼むから、B君のじゃまをしないでくれ」と心の中で言いながら。
 
さて、そこで、B君が「あの宿題は意味がなかったんだ」と言ったらどうしよう。
「だって、宿題をやらなかったA君は100点で宿題をやった俺が30点なんだから」と。
実験することはできないが、B君が宿題をやらなければもっと悪い点だった可能性が高い。
しかし、B君にはそれがわからない。あるいは、わかりたくない。
 
じゃあ、A君は宿題をやらずになんでテストの点が良かったんだろう。
それにはいくつかの可能性がある。
 
 ・もともと英語が得意だった。
 ・宿題になる前にやっていた。たとえば、塾で。
 ・記憶力が良かった。
 
どの場合でも、B君にはうれしくない情報である。特に最後の奴が嫌だろう。
 
いずれにしても、B君は宿題をやらないという。そして塾に行くと言い出した。
で、たいてい、こういう場合、(B君は塾に行かないことが多いが、行ったとしても)
B君の成績は落ち続けることになる。
先生は思う。「ああ。あのとき、単語を書く宿題をやめなければ」と。
 
こうなると、先生は、B君その他大勢を守るために、次のように言い出すかもしれない。
「英単語を書く宿題は、テストができてもできなくても、必要です。宿題をやらない子は成績を下げます」と。
 
こう言われるとA君は怒るかもしれない。
が、そこでA君が大騒ぎをしたら、私もイラッとするかもしれない。
それが普通の人間の反応だろう。
が、思えば、A君には気の毒な話である。(でも、ネットに訴えたりするのはやめよう。)
という話をずっとしてきたのだった。で、今度は、B君の話をしたいのだ。
 
さて、誰が悪かったのだろう。
そして、どうすれば良かったのだろう。
たぶん、コンセンサスはないのだ。
 
つまり、次のうちのどれが好ましいだろう?
 
・宿題をやらないA君が100点を取り、宿題をやるB君が30点を取り、A君に5が、B君に3がつく。
・宿題をやらないA君が100点を取り、宿題をやるB君が30点を取り、A君に4が、B君に5がつく。
・宿題をやらないA君が100点を取り、宿題をやるB君が30点を取り、A君に5が、B君にも5がつく。
・宿題をやらないA君が100点を取り、宿題をやるB君が30点を取り、A君に3が、B君にも3がつく。
・先生が宿題を出すのをやめ、A君が100点を取り、B君が20点を取り、A君に5が、B君に2がつく。
・・・他にも多数・・・
 
たぶん、人によって意見がわかれる。いや、むしろ、意見を言えない人が大部分だろう。
 
えと。続く。