理系大学生のための数学入門的な何か(?)4

大学1年生のとき、線形代数の先生は講義最初の日に次のようにおっしゃった。
「この大学で長年教えてきてね。わかったことがある。
 それは、君たちに難しいことを教えてもわからないってことだよ。
 だから、一番薄い教科書を選んだんだ。これくらならわかるだろう」
 
いや、まあ、言いたい放題ですなぁ。(我々は、言われたい放題?)
しかし、そのおかげ、と言うか、その先生の姿勢のおかげか、線形代数での落ちこぼれ率は
解析に比べてずっと低かったと思う。
 
しかし、ものすごく、つまらないと感じたものだった。
「やさしくてつまらない」のではなく、「意義がわからなくてつまらない」だ。
定義も定理も、その証明もわかる。
でも、それが何?みたいな。
実際、学年が上がるまで「線形代数ってのは無用の学問だ」と思っていた。
 
しかし、それは勘違いで、線形代数は、いろいろな意味でとても役に立つ。
私の専攻した物理学は、線形代数の上に立脚していると言っても過言ではあるまい。
で、しかも、驚くべきことに、「その先生に教わった話」のみで全然オッケーだったのだ。
(Jordan標準形の話は入っていなくて、それだけは、なんと言うか、習いそこなった感があった。
 別クラスでJordan標準形を習った友人たちに、「あれ難しかったよな?」なんて、
 愚痴半分、いや、そう見せかけた自慢をされて、内心モヤモヤしたものである。
 で、その後、ちらちら別の本を読んだりしたが、はっきり言って、私の人生でJordan標準形が
 必要になったことはまだ一度もない。)
 
だから、まあ、私としては、「あのつまらなさ」だけ解決しておきたいのだ。
なぜ、あんなにつまらなかったのか。
ではなく、どうしていれば良かったのだろうか、と。