理系大学生のための数学入門的な何か(?)

なんとなく。
私が大学生になった頃、理系教養課程における数学教育は恐るべきものだったと思う。
たぶん、クラスの7、8割が落ちこぼれていたのではないだろうか。(あくまで推測だが。)
息子の話を聞くと、今はそんなひどいことにはなっていないようだ。
だから、もう、その話はしなくてもいいのかもしれないが、なんとなく書いておきたくなった。
もしかすると、今の若者たちにもなんらかのヒントになるかもしれない。
もちろん、私が正しいという保証がないことは言うまでもない。
 
あの頃(たぶん、今でも)教養課程の数学と言えば、解析と線形代数だった。
今思うと、なかなかオシャレな選択だと思うのだが、当時はただ必死だった。
 
まず、大学で習う数学の範囲は実に広大である。
高校までに習う数学というものは、実は、範囲が厳密に決められていて、
しかもその範囲は小さく、その中を行ったり来たりしているのだった。
だから、理系少年・少女たちは、数学の表も裏もわかったような気になっているが、
それは箱庭の中にいるようなものだったのだ。
 
で、「実に広大」というのは、「勉強するのが大変」という意味ではない。
それは数学のプロになる人はそうだろうけど、今は、一般人の話だ。
問題は、「数学の先生は、実に広大な範囲の中から、選んだものだけを教える」ということだ。
(選んでもらわなければ、広大すぎるから。)
 
ぶっちゃけ、高校の数学の授業がわからなくても、「数I入門の入門」みたいな参考書とか、
あるいは、補習塾に行けばなんとかなる可能性はある。
(と言うか、まじめにやればなんとかなる可能性は高いと思う。)
しかし、大学の数学の授業が分からなかった場合、「授業内容をよりやさしく書いてある本」とか
「補習塾」は、たぶん、ないだろうと思うのだ。
なぜかというと、全範囲は広大で、したがって「先生が選んだ範囲」とまったく同じ範囲の
しかも、よりやさしく書かれた本など、たぶんないと思うからだ。
それを補習できる人もあまりいないと思う。
 
もちろん、たぶん、1冊は「先生が選んだ範囲の本」がある。
それは、先生が選んだ教科書である。
つまり、先生の授業が分からず、先生が選んだ教科書を読んでもわからない場合、
他に助けとなるものがないだろうと思う。
これが、私が言いたい「理系教養課程の数学の難しさ」である。
 
したがって、まず大事なことは、アンチョコなどないと覚悟を決めることである。
 
いやいやいや、解析にしても線形代数にしても、そりゃ全体としては広大だろうけど、
大学1、2年でやる(べき)ことなんか、たかが知れてる。
ほんのちょこっとぢゃないか?と思うだろうか。
それは、天才かプロの人だと思う。
初心者には、結構、広大なのだ。
もう少し、その話をしたい。