科学と学習

ただの思い出話。
「昔は良かった」というのが老人なのだ。
 
昔、「科学と学習」という雑誌があって、それが毎月1回小学校校内で売られていた。
「科学」には科学っぽい付録が、「学習」には子供向きの小説本なんかがついていた。
私は「科学」の付録の「羽ばたき飛行機」というのが好きで好きで好きでたまらなかったが、
他にも「望遠鏡」とか、それから「学習」の小説も好きだった。

今思うと、小学校で売るとは、どういう仕組みだったんだろうと思う。
いや、当時も「これいいのかな?」と小学生ながら思ったものである。
しかし、発売当日は、学校全体がお祭りのような興奮状態になって、
みんなわくわくしながら家路についたものだった。
(校内で開けるのは禁止だったから。)
 
あの「科学と学習」はもうないらしい。
校内で売るのは禁止され、その後、「学○のおばちゃん」が配るスタイルになり、
最終的には本屋で普通に売られるようになり、休刊(廃刊?)と。
校内販売の禁止は、とっても残念だが、まあ、しかたがないのかもしれない。
その後の経緯は、要するに「売れなくなった」ということなのだろう。
それは、消費者の選択であり、誰も悪くない。
 
しかし、思うに、「科学と学習」は日本の基礎教育を大いに支えていたのではないだろうか。
最近、日本から優秀な科学者が多数出ているが、案外、彼等も「科学と学習」を読んでいた
のではないだろうか。
 
なんて思ってしまうのである。
 
ちなみに、我が子が小学生になったときは、まっさきに探したが、本屋にしかなく、
ときどき買って、それなりにおもしろかった。
しかし、あのお祭り感がないのは、やはり寂しかった。
 
ああいうものをなんとか復活できないものだろうか。
と、思うのは老人の懐古趣味に過ぎないのかもしれない。
 
ただ、懐かしかったので検索してみた。
すると、「当時買ってもらえなかった子は悲しい思いをしていた」という書き込みがあった。
なるほど、そこまで考えは至らなかった。
私の両親は決して裕福ではなかったが、「科学と学習」には当たり前のようにお金を出してくれた。
当時の日本では、お金を出したくても出せない(出しにくい)ということはあったかもしれない。
今の日本は、、、再び、貧困状態におちいる子供が増えているとのこと。
 
なかなか難しいものである。