おっさんin代数幾何ワールド(途中まで)2

ハーツホーンを読んでたら妻に言われた。
「その本ずっと読んでるけど、進歩してんの?」
泣いた。石でさえも立ち上がって泣いた。
実際、読み始めて45日目である。進歩・・・、してると思う。
 
第2章 スキーム
位相空間の開集合に群(や環)を対応させるものを前層という。
開集合を U、群を F(U) などと書く。
この対応は開集合の包含関係と矛盾してはならない。
U の部分開集合 V での F(U) の元(ゲン)の値は制限写像 r_UV で与えられる。
開集合上の群(や環)を集めて矛盾なく貼り合わせられるものを層という。
 
多様体の正則関数の環は層である。
 
前層において、一点Pを含む開集合をどんどん小さくする方向で得られる群F(U)の極限を
茎といい、F_P などと書く。
 
前層間の射は r_UV と矛盾してはならない。
 
圏の言葉を使うと次のようにも言える。
位相空間 X の開部分集合を対象とする圏からアーベル群(など)の圏への反変関手を前層という。
前層間の射は自然変換である。
 
前層間の射は茎間の準同型を導く。
前層間の射が同型であるのは、導かれた茎間の写像が同型であるとき、そのときに限る。
 
前層の射に対し、前層核、前層像、前層余核がある。
 
前層には、普遍的な性質を持つ層が付随する。
 
位相空間間に連続射 X --> Y があったとする。
(1) X 上の任意の層から Y 上の層(順像) f_*F(V) = F(f^{-1}(V)) を作れる。
(2) Y 上の任意の層から X 上の層(逆像) f^{-1}G(U) = lim_{V ⊇ f(U)} G(V) を作れる。
 
環 A から素イデアルの集合 Spec A を構成する。
A のイデアル a を含む素イデアルの集合を V(a) とし、これを閉集合とする。
 
Spec A の開部分集合 U に対して、A_p の余積を値域とする、局所的に商の形になる
関数の集合を O(U) とする。すると、この O は Spec A 上の環の層となる。
これらをまとめて A のスペクトラムという。
スペクトラムと言っても、熱情ではないので、なりやまぬ愛を叫んだりはしない。)
 
A の元 f に対し、「D(f) = V( (f) )の補集合」 とする。
これは Spec A の位相の基底をなす。
 
茎 O_p 〜 局所環 A_p
O(D(f)) 〜 A_f
O(Spec A) 〜 A
 
位相空間 X と X 上の環の層 O_X との対を環付き空間という。
環付き空間 X, Y 間の射は、X --> Y の連続写像 f と、O_Y --> f_*O_X の準同型 f^# 対である。
茎が局所環のとき、これを局所環付き空間という。
局所環付き空間間の射は、f^# から茎間の局所準同型が導かれるものでなければならない。
 
(Spec A, O) は局所環付き空間である。
環 A、B 間の準同型と局所環付き空間間の射は対応する。
 
局所環付き空間であって、あるスペクトラムと同型であるものをアフィンスキームという。
アフィンスキームを貼り合わせたものをスキームという。
 
次数付き環 S に対し、次数が正のもの全体を S_+ と書く。
また、S_+ 全体を含まないような斉次イデアルの集合を Proj S とする。
位相を Spec A のときのように導入し、環の層を付随させる。
 
O_p 〜 S_(p)
(D_+(f), O|D_+(f)) 〜 Spec S_(p)
Proj S はスキーム
 
スキーム X とスキーム S への射の組を S 上のスキームという。
この圏を Sch(S) と書く。また、Sch(Spec A) も略して Sch(A) と書く。
代数閉体 k 上の多様体の圏を Var(k) とすると、充満で忠実な関手 Var(k) --> Sch(k) がある。