練習すれば上達する話

私は、高校では、へっぽこ野球部員だった。
中学で野球の経験がないのに入った。運動神経は悪い。
それは、今考えると、冒涜に近いようなものだが、当時はそんな風に考えなかった。
あえて言えば、素人でも入れるレベルの野球部ではあったのだが、それでも大変な苦労をした。
(だいたい、1回戦は不戦勝(相手は人数がそろわないレベル)、2回戦はなんとか勝つ、
 3回戦は、まあ、その、あんまり勝てない。そんなレベルの学校だった。)
 
私がヘタクソなのは、後輩達(私も上級生になったわけです)にも知れ渡り、チャンスのときに
私の打席がまわってきたときなんか、応援席からもれてくるガッカリ感はハンパなかった。
それは、試合中の相手もすぐわかり、「おい、こいつ打てねーぞ。守備前進〜」なんて言われた。
 
そんな私だが、大学に入って、運動神経が無駄にいい人たち(けど、特にスポーツをしてきた
わけでもない、まあ、ちゃらい人たち)と草野球をすることが結構あった。
すると、なんとしたことか、私は大活躍できたのである。
打席に立てば、対戦相手は、「外野バック〜」と言い合ってくれる。
そのバックした外野の頭を超える長打(って、言うか、ホームラン)を打つ。
運動神経ではとてもかなわない友人に「なあ。どうすればあんな風に打てるの?」なんて聞かれる。
 
私は、「え?まあ、ボールに向かってバットを振るんだよ」とか答えたものだが、本当の答は、
「高校の野球部に入って、練習で吐きそうになりながら、もうやめたい、もうやめたいと
 思うような毎日をすごすと、打てるようになるんだよ」だ。
 
まあ、「そんな素人の中で活躍できてうれしいか?」と聞かれるなら答えよう。
「うれしい。めちゃくちゃうれしい」と。