数学が苦手?

最近、「数学が苦手」という話を聞いた。
で、考えた。
 
数学(高校までの数学)というとヒラメキとかいう人がいるが、私は信じない。
それより、「数学のルールを守って考えることができるかどうか」だと思う。
数学が苦手なお子さんは、数学のルールを守って考えないだけのことだろう。
それでは、なぜルールを守らないのかと言うと、次のように思う。
 
理由1:ルールの存在を知らない・理解していない。
   (ルールって何?それ美味しいの?)
理由2:ルールを守るのが嫌い。
   (俺はロックンロールだからさ。)
理由3:ルールに詳しくない。
   (覚えるの苦手なんだ。)
 
勉強してるのにできない(そんな言い方でごめんなさい)子どもを見ると、
多くの大人は、まず、才能を疑う。
しかし才能はしかたがないと思うと、今度は理由3を疑うと思う。
 
しかし、私は、大部分の場合、理由1と理由2だと思う。
さらに言うと、理由2というのは、実は理由1の変形バージョンだと思う。
ルールを「守るべきもの」として認識したなら、ちゃんと守ろうとするだろうから。
 
「ルールの存在を知らない・理解してない」なんてことがあるのかと言うと、私はあると思う。
ものすごく多く。
 
予備校の先生をしていた頃、生徒の答案の中には度胆を抜かれるものがあった。
それは、「サッカーの試合だと思って見に行ったら、選手がラケットを振り回していた」と
いうようなものである。(私の驚愕度は伝わるだろうか?)
数学の答案でも同じようなことが行われているのだ。
彼らは、サッカーのルールとテニスのルールの区別がわからないように、数学のルールと
それ以外のもののルールの違いがわからないのだ。
 
なぜわからないのだろうか。
「サッカーの試合でラケットを振り回す子」は、たぶん、サッカーやテニスを理解して
いないのだと思う。
もちろん、ぼんやりとは理解していると思う。
しかし、ぼんやりとであって、サッカーやテニスの違いを認識できるほどではないのだ。
あるいは、「スポーツというルールにしばられて楽しむものがある」ということを
理解していないのだと思う。
 
そんなとき、「この子はサッカーのルールに詳しくない」と思い、ルールを丁寧に教えようと
する大人が多い。と思う。
曰く「サッカーでラケットは使わないんだ」。
するとその子は次の日にバットを持ってくる。
「いやいやそうじゃないんだ。サッカーではボールを足で蹴るんだ」。
するとその子はスローインの時も足で蹴ろうとする。
ゴールキーパーはいんちきをしている」と叫ぶ。
それらひとつひとつを丁寧に説明していると、
「いちいちウルサイ」とか「俺はルールにしばられない生き方をするぜぃ」なんて
言い出す可能性が高いと思う。
 
その子に本当に教えるべきことは
 
・サッカーにはサッカーのルールがある。
・それを守らないと楽しくない。
・ルールを守ると活躍もできるし楽しくなる。
 
ということだったのだ。
しかし、これを実際に教えることは、とても難しい。
上記の事は、直感でわかる子は教わらなくてもわかっているのだ。
だからこそ、直感でわからない子に教えるのはとても大変なことだ。
そして、それは数学の場合も同様なのだ。
 
続く。