とりとめなく雑感(またはOL考)

最近、我が家では古典ブームである。
で、「清少納言って、昔のOLさんって感じなんだよな」というと、息子の奴、
「おやじが、"OLさん、OLさん"と連呼するのは、きもい」などと。
な、なにうぉ。
 
しかし、まあ、これには伏線があった。
我が家では、ディ○ニー映画のラプンツェルが人気である。
塔に閉じ込められたお姫様のラプンツェルが、出だしに「私の人生はいつはじまるの?」と歌う。
娘に評判のよい歌で私も好きなのだが、この歌は「アメリカのOLさんの歌」だと思う。
「いろいろやってはいるけど満たされない。私の本当の人生はいつはじまるの?」というもの。
ラプンツェル自身はOLさんではない。
しかし、OLさんの歌(と私には思える歌)を歌うのである。
そんな話をしていて、息子の発言につながったわけだ。
 
しかしまあ、もう20年も前になるが、私がアメリカにいた頃の若いOLさんってこんな感じだった。
リアルで知り合った若いOLさんはゼロ(年取ったOLさんはいた)なのだが、テレビなどで
見ていてそんな感じだった。
「私の人生はいつはじまるの?」とは、概ね「白馬に乗った王子様はいつ来るの?」という意味である。
同じ年ごろだった私は、かなりの反感を覚えた気がする。
おまえら世界最強の女性解放の国に居て、王子様を待っとるのか?
そもそも、人生ってのは生まれた時からはじまってんだよ、と。
(決して私がモテなかったからではない。決して。いや、えーと、たぶん。)
 
しかし、そろそろ彼らの親と言える年代になって、反感は減った。
いやむしろ、ちょっとやさしい気分にすらなる。
 
彼らは世界で一番豊かな国で、そこそこ豊かな階級に生まれ、発展途上国の同級生よりはるかに
恵まれた、豊かで自由な暮らしを楽しんでいたはずである。
だから、まあ、「ぜいたく病」とは言えるだろう。
しかし、そうは言っても、自分の選択でそう生まれてきたわけでない。
彼らの感じていたものは、貧しい人々から見れば、「ふざけんな」というタグイのものだが、
「豊かさの中の閉塞感」ではないだろうか。
 
今、日本は不況である。
不況であれば、当然、その閉塞感がある。
実際、就職難などは、閉塞「感」などとは言えない、リアルな閉塞状況だろうと思う。
しかし、日本も、不況とは言え、今は豊かな国である。
若い人たちはそれと同時に、「豊かさの中の閉塞感」も味わっているのではないだろうか。
 
ちなみに、魔女の宅急便は「日本のOLさんの物語」だと思う。
うあ。やっぱり、連呼してます?