「数学の問題を何度も解きなおす」について9

どこまで続くんだか、もう、本人にもわからない。
なんだかいつも同じことを繰り返しているような気もするが。
 
何かを学びはじめたとき、その基本問題を繰り返すのは、必要不可欠とは言わないが、
たいていの人にはよいことだと思う。
三角関数のような何かを学ぶとき、人は、次のような過程で成長していくのではないか。
 
(1)定義や公式を動かしてみる。
sinの定義や加法公式をお経のように繰り返してもしかたがないだろう。
実際の三角形でためしたり、何かを計算してみなければ、「わからない」と思う。
 
(2)定義や公式を頭に定着させる。
定義そのまま、公式そのままの問題なら、すぐできるようにする。
そうしないと、次の段階に進めない。
 
ここまでは、「基本問題を繰り返させる」ということになると思う。
ただし、子供をパブロフの犬にするのが目的ではないので、(2)が終了次第、
すぐにやめるべきだと思う。
ここで無限ループにはまる子もいるような気がするが、それは、悲劇だと思う。
何にでも「卒業」がある。ちゃんと卒業させてあげよう。
 
ただ、「忘れちゃう子供」もいる。
それは、「数学入門」が済んでいない子だと思う。
つまり、数学が頭に入る状態になっていないのだ。
その場合は、しかたがないので、適度に思い出せてあげるべきだろう。
そうして、数学に入門するのを待つしかない。
 
そして、最終段階。
 
(3)「おもしろい問題」に出会うのを待つ。
 
出会いは偶然?(笑)それとも、運命の出会いも実は演出?(笑)
たぶん、普通、どっちもあると思う。
指導者(親や先生)が「子供に運命の出会いをさせられる」と思うなら、
やってみるのもよいと思う。
やってみてうまく行けば、すばらしい!
その子があなたに感謝しなくても(たぶん、しませんぜ)、私は、あなたを
「その子の英雄」に認定します。
しかし、うまく行かなくてもしかたがないと思う。だって、出会いなんだもん。
その場合、あとは、待つしかないと思う。
それでも、指導者にできることはある、と思う。
それは、環境を整えておいてあげることだと思う。
 
異性のいない職場に居て、プライベートにはどこにも行かず、それで
「出会いがない」というのは、あまりに自明なことを言っているにすぎない。
「良い問題」と出会うためには、「良い問題が集まるパーティー」かなんかに
顔を出しておかなければならないのだ。
子供が自分からそうすることは少ないだろう。
指導者は、無理強いせずに、そういう機会を提供し続ける必要があるのだ。
それは筋トレのような「基本問題の繰り返し」ではないように思う。
それと、ここで言う「良い問題」とは、「世間様が言う良い問題」ではなく、
「その子にとっての良い問題」である。
たいていの場合、それは「世間様が言う良い問題」でもあるだろうが、逆は
真ではないのだ。