「数学の問題を解きなおす」について6

数学の勉強の最重要ポイントは「考える」ということだと思う。
それに反対する人は少ないと思う。
しかし、多くの子供たちにとって、「考えろ」という指示ほどわかりにくいものは
ないのかもしれない。
(↑この文もわかりにくいですな。)
 
「考えろと言われても、何を考えていいかわからない」と反抗的になるなら、きっと、
その子は正しいと思う。
逆に、「はいっ」と威勢よく返事をして、確かに何かやってるのだが、どうにも成績が
伸びない子もいる。
その場合、その子は、たぶん「正しく考えていない」のだ。
(さぼっているというのとは違う。)
 
数学の先生は考え方を教えるものだ。
が、その考え方の大部分は、特定の問題の解き方でしかない。
せいぜい、関連する問題にも適用できる、テクニックだ。
 
しかし、「方程式とは何か」「関数とは何か」「三角関数は?」「ベクトルは?」
「そもそも問題を解くってどういうことか」というような根源的ものについては、
あまり教えてくれないと思う。
もちろん、教えてはいる。少なくとも、1回は教えているはずだ。
「えー、三角関数とは・・・」なんて。
 
でも、たぶん、それを何度も繰り返してはくれない。
そもそも、そういうことは、一度教わる必要はあるのだが、定義を覚えるのは自分だ。
しかも、定義を覚えただけではだめで、最後は自分の「感覚」でわからなければならない。
そして、それを教えることはできないだろうと思う。
三角関数の定義を、覚えるほど繰り返してくれる先生がいたとしても、その先生に教わって、
数学ができるようにはならないだろうと思うのだ。
(だって、すべての分野についてそれをやったら、定義だけで授業が終わるだろうから。)
 
感覚でわかっていない子は、「考えろ」と言われても、「正しく考えること」が
できないのである。
(私の用語で言うと、その子は、「その分野の創出ができてない」となる。)
 
私は、このような状況において、あくまで限定的に、「数学の問題を繰り返し解かせる」
ということに方法論的な意味を見出すのである。