正義の人3

小説というものは、普通、人間の負の側面も扱うのだと思う。
嫉妬、劣等感、優越感、小心、傲慢、裏切り、偽善、、、。
(うわ。書いてて気分が悪くなった。)
 
「正義の人」には、そういうことがなかなかわかりにくいのだ。
それは、「自分の中にそういう負の側面はない」と感じているからだろう。
実際のところ、負の側面を持っていない人などいないのではないかと思う。
「正義の人」の中にもあるはずだ。
しかし、「正義の人」は、そういうのを見るのが、単純に嫌なのだ。
一方、小説家は、そういうところをさらけ出す。
 
娘に2012年度センター試験に出題された「玉虫を見る」(井伏鱒二)を読ませた。
(以下、ネタばれありますので、読んでない人はご注意を。)
「弱い男」の話で、私は、こういう昭和っぽい話(大正かな?)が大好きである。
が、おそらく、娘はそういうことを、現時点では、まったく理解しないような気がする。
 
しかし、まあ、それはいい。
問題はお話の中のあるシーン。
主人公と恋人がデートをしているときに、恋人が玉虫をはじきこ○してしまう。
それは、デートの時間が玉虫に奪われるのを嫌った恋人の一瞬の行動だった。
で、センターの問題は、その後の二人の心理を問うものだったが、当然(笑)、
娘は怒りだした。
いくら、「それはそれ、国語のテストなんだから、問題解こうね」と言っても、
「それはそれ、私は、この女の人が許せない。わけわかんない」と怒りまくる。
 
いやあ、思ったとおりの反応だったよ。