カレーの熱力学

妻がカレーをつくって、鍋の中をかき混ぜていた。
幸せだなー。
すると、妻が言う。
「こうやってかき混ぜてると、速く温度が上がるんだよね?」
「は?なんで?」と言うと、驚いた顔をして、
「お父さん(私)がそう言ったんじゃない。運動エネルギーが熱に変わるからって」。
い、いや、そりゃ、確かにそうだけど、そんなの観測できないくらいの変化でわ?
「えーーー。でも、確かにそう言ったじゃない」と重ねてくる。
いやあ、それは、無理。
「それって、息子がギャグで言ったんじゃないの?あいつなら言いそうだから」と
言うと、「そんなことはない。確かに覚えている」と言う。
 
う〜ぬ。
カレーのように対流しにくいものをかき混ぜるのには意味があるだろうし、
それによって温度がどう変化するかは、実験してみないとわからない。
でも、本質的な違いはないだろう。
しかも、手の運動エネルギーが熱に変わるって、、、。
 
そのカレーに水を1500cc入れたんだよね。
具は別にしても、そのカレーの温度を1度上げるのに必要な熱量は1500cal。
1cal = 4.2J だから、それは、約6000J。
今かき混ぜている手にかかっている力はどれくらいだろう?
せいぜい500g重程度ではないかな。つまり、だいたい5Nだね。
そーすると、そのカレーの温度を1度上げるには、少なくとも1200mくらい手を
動かし続けないとだめだよね。鍋の中で。
まあ、これは熱が外に逃げないって場合の話で、実際にはもっとずっと長い
と思うけどね。
 
1200mで1度。いや、できないとは言わない。
しかし、私がそんなことを言うだろうか?