言葉では伝えられないもの?

よく「言葉では伝えられないものがある」という人がいる。
私は、そういう考え方の強固な反対者である。
もちろん、ロマンチックにもやもや語りあっているのは結構なことだ。
しかし、「ポインタ(プログラミング用語)の定義は言葉では言えない」などと言われると、
もうそれ以上会話を続ける気力がなくなってしまう。
 
しかし、最近、「言葉でなかなか伝えられないものがある」という認識を強く持つことに出合った。
その例を直接出すのは気が引けるので、別の例で語りたい。
 
私は、ソフトウェア(略して、ソフト)は、基本ソフトと応用ソフトに分類されると習った。
基本ソフトとは、OSなどである。
OSとは、Windowsのようなパソコン(など)を基本的に動作させるソフトのことである。
応用ソフトとは、パソコン(など)を実用的に使うためのソフトで、ワープロソフトとか
表計算ソフトなどのことである。
明確ではないだろうか?
 
しかし、実は、そうでもない。
(と言って、この話がしたいのではないので、誤解のないように。あくまで例である。)
「基本ソフトとは、OSなどである」と書いたが、「それ以外の基本ソフトは何か」が問題になる。
私の知識では、エディタ(字を書くソフト)などである。
つまり、私の流派では、「基本ソフトとは、OSやエディタのことである」と言える。
しかし、メモ帳(エディタの代表例)とWindowsを同格であるように考えるのはさすがに
気が引けるのか(推測)、最近では、エディタなどを基本ソフトに含めない人が多くいる。
彼らは高らかに「基本ソフトとはOSの別名である」と言うのだ。
 
おじさん、こまっちゃうな。
でも、まあ、そういう言い方があってもいい。
それが主題ではない。
言いたいことは、このような時代背景がもたらす用語の混乱である。
つまり、世の中には、次のように言う人々がいる。
 
・基本ソフトは、OSやエディタなどからなる。
・基本ソフトとは、OSのことである。
・OSには、エディタが含まれる。
・広義のOSは、狭義のOSやエディタなどからなる。
 
コンピュータの世界にはどういうわけか原理主義者というか、他人の用語法を絶対に
許さない人々がいて難儀する。
が、今は、その話ではない。
私が言いたいのは、上記最後の例の「広義のOSは、狭義のOSやエディタなどからなる」という
一見あまりありがたくない用語法が、結構多くの場面で使われ、しかも有用だと言うことだ。
私は、この用語法に反対しているのではなく、世の中の多くの場面で、
「広義の○○、狭義の○○」という状況が発生するということを言いたいのだ。
 
別の例を言うと、「広義のソフト開発には、狭義の開発が含まれる」などもそう。
 
例をあげて言いたかったことはこれだけである。
で、最初の主題に戻る。
「広義の○○、狭義の○○」という言い方はなるべく避けてほしいものだが、諸般の事情で避け
られないことも多い。
そういう場合、「○○」と言われたときに、広義と狭義の両方があることを覚悟してほしい。
そして、問題は、広義・狭義だけではない。
つまり、「状況に応じて意味が変わってくる用語」があるということなのだ。
それがわからないと「言葉では伝えられない」という状況になってしまう。
もちろん、「状況に応じて意味が変わってくる用語」があるということ、そしてそれが
状況に応じてどう変わるか、言葉で説明できるはずである。
しかし、多くの場合、説明者か非説明者かその両方かの怠慢、または、能力不足で、これが伝わらない。
そういうことがあるのだ。
 
ああ、なんだか、言いたいことを伝えられてない気がしまくるけど、終了。