民主主義って人気ないの?2

本屋さんに行って、あらためて、民主主義の本がないのに驚いた。
 
人は、読みたい本を読むんだと思う。
「英語なんか勉強しないでいい」という本なんかがその典型だろう。
 
まあ、そういう本ならわからないでもないが、一番目に付くのは、
「日本はすごい」「日本人は尊敬されてる」というタイプの本。
それから、少しだけ、それと逆向きの本。
それから、他国に関するヘイトな本がまた多数。
う〜ん。日本は大丈夫なのか?
 
思った。
一般に、ものごとの真偽を判定する際、どうしてもその根拠を示すことの
できないものに遭遇する。
それを数学者は公理と呼び、物理学者は原理と呼ぶ。
私たちは子供の頃、日本国憲法の精神を叩き込まれた。
それは、民主主義、人権尊重、平和主義である。
これらは、「それに反すれば悪」と判断されるもので、言わば、生活上の
公理のようなものだった。
たとえば、「アメリカが正しいかソ連が正しいか」は、「どちらが民主主義か」
という議論になった。
(「国益」などという気味の悪い言葉を使う若者はいなかったと思う。)
 
いかなる理論をも疑ってかかる必要はある。
幾何学の公理しかり、選択公理しかり、光速不変の原理しかり、である。
当然、「民主主義を疑う」ということも必要なことだろう。
しかし、幾何学の公理を「疑う」人たちは、大変に思慮深い人たちだ。
真剣な思慮もなく、公理を単純な好悪で取捨するなら、人は、何をどう考えて
よいかすらわからなくなる。
 
日本国憲法を公理として信じられた我々は幸せだったと思う。
もちろん、今でも、信じている。