家庭における数学学習法 最終回

最大のポイントは、どうすれば反復学習で理解を深めることができるのか、だろう。
それは、子供に「理解を深めるぞ」という心構えを持たせることだと思う。
 
たとえば、ノコギリの反復練習も、ていねいにやればいろいろなことがわかってくる。
トンカチでの釘打ちだってそうだ。
しかし、雑にやれば、いくら練習を繰り返しても、何もわからないし上達もしないだろう。
数学における「理解を深めるための反復」も同様だと思う。
 
が、子供に「心構え」を持たせるための秘法を、私は知らない。
こういうことは、言葉で言うべきだが、簡単には通じないと思う。
だから、親は「子供の理解を深める手助けをするぞ」と心構えを持つしかないと思うのだ。
具体的には、以下のようにしてはどうかと思う。
 
 ・この学習で理解が含まると親が確信する。
 ・そして、おもしろがる。
 ・子供に「よく考えるんだよ」と言う。
 ・考えることは楽しい。
 ・間違ってもできなくてもしからない。
 ・ただし、間違いはちゃんと指摘する。
 ・必要なら、考えるためのヒントも出す。
 ・重要な考え方で問題が解けたら鐘や太鼓を打ち鳴らす(イメージです)。
 ・その考え方を印象付けるようにする。
 
これが私が思いつくすべてだ。あとは、子供がそれをどう受け取るかだと思う。
上記は、しょせん、すべて補助輪である。
最終的には、子供自身が「理解を深めるって楽しい」と思うのを待つしかないのだ。
(そう思ってからは、「あからさまな反復」の回数は減るかもしれない。
 「その問題は解けるからやりたくない」とか言って。)
 
なお、前にも書いたが、100マス計算のような処理速度を上げる練習と理解を深める
練習は違うと思う。
小さな子供にはその違いはわからないかもしれない。
彼らには、すべてが(「自分の能力」やその「向上」まで含めて)発見の連続だろうから。
だからこそ、小学生の指導は気をつけてやるべきだと思う。
が、中学生くらいになると、わかるようだ。
 
あとひとつ。
ノコギリの練習をしているうちに、飽きちゃって、大工仕事に興味を失う人はいる。
キャッチボールをしているうちに、キャッチボール自体が楽しくなって、
「別に、バットでボールを打たなくてもいいや」と思うようになる人もいる。
それならそれでいいかもしれないが、そうならないようにするには、
 
 ・無理強いをしない。
 ・十分休ませる。
 ・練習を楽しませる。
 ・でも「練習の先」にもっと楽しいものがあることも教えておく。
 
などが重要だろうと思う。それは、ノコギリであっても数学であっても。
 
以上です。