家庭における数学学習法 5

前回、「数学学習」を
 
・はじめは、ノコギリやトンカチの使い方を学ぶように、定理や考え方を学ぶ
・次に、使い方を覚えたノコギリやトンカチで何かを作ってみるように、
 覚えた定理や考え方で問題を解いてみて、学んでいく
 
のように二段階に分けた。
が、私が特に重要だと思っているのは、最初の段階であり、これがはじめに述べた
「理解を深めるための反復」であるのだった。
だって、ノコギリやトンカチの練習は、「反復」でしょ。
(けれど、前回は、フォーカスがぼんやりしてしまった。)
次の段階を「重要」と言わないのは、本当に重要でないからではなく、最初の段階を
正しくクリアしていれば、自然に進めると思うからだ。
 
ところで、「反復」と言った場合、100マス計算のように厳密に同じ問題を反復する
場合と、「似たような問題を複数解く」場合があると思う。
後者は、実際には「反復」ではないが、「本質が同じ問題」をいくつも解くのだから、
私は反復と考える。
たとえば、「ノコギリの練習」は、ノコギリで何枚もの板を切ってみることだと思う。
その際、切る板が厳密に同じかどうかはあまり関係ない。
「ノコギリで切る」ということを反復することが重要ということなのだ。
 
それでは、「三平方の定理の練習」をする場合、厳密に同じ問題を繰り返した方が
いいのか、似たような問題を解くのがいいのか。
私個人は、断然、「似たような問題を解く」を好むが、これは個性の問題だと思う。
 
さて、ここまでが前置き。
 
よく「同じ(ような)問題ばかり解いていてもだめ」という人がいる。
「それは、条件反射を鍛えているだけだ」と。
大変ややこしいのだが、私は以下のように考える。
 
まず、条件反射を鍛えること(処理速度を上げる練習)も重要だと思う。
処理速度の遅い子供は、数学学習上、いずれ困難に遭遇する可能性が高いからだ。
もちろん(?)、生まれつき(?)足が速い子がいるように、あまり練習せずに
処理速度の高い子もいる。それはそれでよし。
そうでなければ、処理速度を上げるために「反復学習」をすべきだと思う。
 
しかし、ここで言いたいことは、「処理速度を上げるため」ではなく、「理解を深める
ため」にも、反復学習は有効であり、それを意図的に使ってはどうか、ということだ。
反復学習反対派の人の中には、「反復学習をしていると思考しない子になる」と
言う人もいる。
私は、それは、「処理速度を上げるための反復学習」(や「覚えるための反復学習」)と
「理解を深めるための反復学習」を混同しているのではないかと考える。
 
ノコギリの反復練習をしたために、大工仕事ができなくなる人はいるだろうか。
キャッチボールの反復練習をしたために、野球ができなくなる人はいるだろうか。
私は、「反復練習をしたため」というのは、誤りだと思う。
ただ、ノコギリの練習をしているうちに、飽きちゃって、大工仕事に興味を失う人はいる。
キャッチボールをしているうちに、キャッチボール自体が楽しくなって、
「別に、バットでボールを打たなくてもいいや」と思うようになる人もいる。
同様に、数学でも、単純な反復学習をしているうちに、その先に進む気がなくなる
ということはあるように思う。
 
それは、ちょっとまずい。
ではどうすればいいか、というと、それは、心構えの問題ではないかと思うのだ。
(あ、子供の心構え・・・というより、親の心構えです。)
「心」は難しい。が、結局、そこだろう。
 
以上をまとめて、たぶん、次回最終回。
魔法の方法はないので、期待されませんように。