数学のパターンについて2

数学の問題のパターンを、便宜的に、基本パターンとその派生パターンに分類する。
 
たとえば、「ドリル その3」の問題群を解く「基本パターン」を言葉で書くなら、
「お金を分割し、分割されたお金同士の比を考える」とでも言えると思う。
(もちろん、それを「値段の問題パターン」とも言えるわけだ。)
このパターンで、「ドリル その3」の全部の問題が解けるのである。
これが、私の言う(「ドリル その3」の)基本パターンである。
 
一方、個別の問題を見て、その問題の詳細なパターンを言うこともできる。
たとえば、「ある商品は原価の8%の利益を見込んで定価をつけました。その利益は
64円です。原価はいくらですか。(800円)」などという問題は、「利益率と利益から
原価を出すパターン」と言うこともできる。
これは、派生パターン(あるいは、応用パターン)と言えるだろう。
 
さて、(試験の)数学では、「解法のパターン」を暗記するとよい、と言われる。
賛成である。
しかし、上のような派生パターンをすべて暗記しようとするのは効率が悪いと思う。
それより、基本パターンをよく理解し、派生パターンの問題は、なるべく
基本パターンの思考のみで解けるようにした方がよいだろうと思うのだ。
最初に「基本パターンで、すべて解ける」と主張した点に注意してほしい。
暗記すべきなのは、派生パターンではなく、基本パターンなのだ。
 
ところで、基本パターンを、言葉として暗記しても、たぶん意味がない。
「お金を分割し、分割されたお金同士の比を考えるパターン」と、何べん唱えても、
たぶん、なかなか問題が解けるようにはならないだろう。
数学のパターンの暗記は、丸暗記ではないのだ。
と、まあ、それは、よく言われる話ではある。
しかし、私は、基本パターンは、理解するより前に、認識することが難しいと思う。
 
そもそも「基本パターン」は、どこにあるのだろう。
上に述べた「ドリル その3」の基本パターンは、そのすべての問題に共通する
パターンである(と思う)。
だから、どの問題を見ても、「基本パターン」が見えてよいはずだ。
たとえば、「基本パターン」を一番素直に表しているのは、
「1000円の1割はいくらですか。(100円)」だろう。
したがって、「この問題をよく理解していれば、他の問題も解ける」という
ことになるわけだ。
 
しかし、もちろん(?)、普通の人は、なかなかそうならない。
だから、学習者は、いろんな問題にあたらなければならない。
実際、それは正しい方法だと思う。
普通の人は、たった1つのやさしい問題を見てその問題のパターン(エッセンス)を
理解し、その応用問題を解けるようには、残念ながら、ならないのだ。
(いや、天才のことは知らない。)
  
逆に、派生パターンは、基本パターンより認識しやすいと思う。
「まとめ」などとして書いてある本も多い。
たとえば、
 
 「お金を分割し、分割されたお金同士の比を考えるパターン」
 
と言われるより、
 
 「利益率と利益から原価を出すパターン」
 
と言われた方が、「何をしたいのか」がわかりやすくはないだろうか。
 
問題集にはたくさんの問題がある。
よい問題集は、たくさんの派生パターンを網羅するようにできている。
それら派生パターンは(比較的)容易に認識でき、したがって、理解もしやすい。
すると、、、
さあ、それらのパターンを覚えよう。・・・となっていきそうだ。
 
私も「複数の派生パターンの問題を解く」ことはよいことだと思う。
しかし、それは、複数の派生パターンを個別に覚えるためではなく、
 
 派生パターンから、その背後にある基本パターンを見つけるため
 
であると思うのだ。
 
つまり、基本パターンを見つけて、理解して、覚えるのである。
派生パターンはそのための補助なのである。
 
続く。
 
今更気がついたのですが、前に書いた「つかんだということ(子供編)」の話の
繰り返しですね。でも、まあ、そんなもんです。