娘の近辺

娘はある集団に属している。
(あ、いや、当然、複数の集団に属している。)
あるとき、そこの上級生が、次のようなことを言ったという。
 
「よく、どうして勉強できるのって聞かれるけど、困っちゃうんだよな」。
彼は勉強ができるらしい。
「そんなの勉強してるからに決まってるじゃん」。
そうだね。おじさん、その一言で君が気に入ったよ。
「でも、そうも言えないしね」。
うんうん、わかるよ。
「でも、勉強たくさんしてるの?って聞かれるのも困るんだよな。
 だって、してるって言うのも、してないって言うのも、、、」。
そうだね。おじさんなら、迷わず、「してる」って答えるけどね。
 
さて、その話を聞いた他の上級生たちは、
「うんうん、わかる」
「私こんな話ができたのはじめて」
などと同意したという。
それを見ていた娘も大いにうれしかったそうだ。
 
世の中には、テストの点が良い子を、どこか「立ち回りのうまい子」の
ように扱う傾向があるが、彼らの真摯な努力を考えてほしい。
 
ところで、娘のクラスにも優等生がいる。
一人は、幼稚園時代に一緒で、小学校で分かれることになったが、
中学での再開を誓い合い、また、同じクラスになった子。
息子の同級生にもいるが、見ただけで優等生とわかる、声を聞けばさらに
わかるというタイプの子だ。こういう子はどういう勉強をしているのか、
私も知りたいものである。
(自習か、通信添削か、塾か、なんてことを。塾なら、娘も考えちゃう。)
 
もう一人は、小学校で一緒だった子。
この子の小学校時代の発言には、夫婦共に驚かされたものだが、
娘は、「ほら、あれは、まだ、小学生だったから」と。
実際、一度だけ会ったことがあるが、受け答えがものすごくしっかり
した子で感心したものだった。
最近は、この子と勉強の話をするらしい。
 
親が子に与えられないものはたくさんあるが、その中でもとびっきりは
「友達」だと思う。