自分と子供たちのための数学勉強法12

前回、なんだか、「反復」に焦点が行ってしまった。
が、訓練には「反復」が付き物であり、したがって、数学が訓練なら、
「反復」は、重要な話題である。
そこで、このまま「反復」について、考えてみたい。
 
まず、「反復」の意味だ。
これは、「厳密に同じものを反復する」という意味にも
「似たようなものをいくつも扱う」という意味にも考えることができる。
(後者の意味で言えば、前回のプランB〜プランC’は、すべて「反復」
 という要素を大いに取り入れていることになるだろう。)
 
ここで、イメージをはっきりさせるため、例を考えたい。
(自分と子供たちのための数学勉強法9の問を問4とし、その続き、問5から。)
 
問5
ツル(足が2本)とカメ(足が4本)があわせて7匹います。
足の数は全部で22本です。
ツルとカメは何匹づついるのでしょう。
 
問6
イカ(足が10本)とタコ(足が8本)があわせて7匹います。
足の数は全部で62本です。
イカとタコは何匹づついるのでしょう。
 
問7
Aさんは、ある本を、3ページ読む日と4ページ読む日があります。
ある週(7日間)は、全部で25ページ読みました。
3ページ読んだ日と4ページ読んだ日は、それぞれ何日でしょう。
 
えーと、ツルやイカの数え方とか、その辺は、目をつぶってください。
(小中学生は真似しないように。)
答は、ツル3匹(3羽)、カメ4匹、イカ3匹(3杯?)、タコ4匹(?)で、
3ページ読んだ日は3日、4ページ読んだ日は4日ですね。
 
まず、小学生の視点で考えてみよう。
問5は、有名なツルカメ算である。
問6はイカタコ算というのかもしれない。問7は、なんて言うのかな。
まあ、なんとよぼうが、問6も問7も、本質的に「ツルカメ算」である。
(合意とみてよろしいですね?)
 
中学生の視点からは、ツルもタコも関係なく、これらは、1元1次
方程式の問題ということになるだろう。
 
つまり、いずれにしても(小学生にしても中学生にしても)、問5の
解き方を教われば、問6も問7も、原理的には解けるはずなのだ。
 
が、もちろん、実際、そんなに簡単ではない。
特に、問6は問5に似ているので、なんとかなりそうだが、
問7はずいぶん違って見える。
したがって、「問5の解き方を習えば、すぐに問7も解ける」とは、
言いにくいだろう。
  
さて、準備は終了。ここから本番。
「同じ問題を反復練習させる」と言ったとき、それはどういう意味だろうか。
 
 1.問5だけを何度も繰り返させる
 
という意味だろうか。あるいは、
 
 2.問5や問6のような問題をたくさん作ってやらせる
 
という意味だろうか。
ここで「問5や問6のような問題」とは、たとえば、
「必ず頭と足との数の問題」に限定して、何問もやらせるという意味だ。
ツルカメ算、イカタコ算の他に、昆虫クモ算や猿カニ算などがありそうだ。
あるいは、
 
 3.問5、問6、問7の類題をたくさん作ってやらせる
 
という意味だろうか。
この3番目の意味は、「(中学生の言葉で言えば)1元1次方程式の
いろいろな問題を作ってやらせる」という意味だ。
当然、かなりのバリエーションが考えられるだろう。
 
私は、どの方法も、「反復法」と言ってよいものだと思う。
ただ、言葉の定義をしないと、話が通じないことがある。
そこで、上の3つの流儀に名前をつけたい。
順番に、
 
 1.厳密反復型
   (まったく同じ問題を何度も繰り返させる。)
 2.数値変更問題反復型
   (同じタイプだが数値だけ変更した問題を数多くやらせる。)
 3.一般類題反復型
   (同じ解き方で解ける問題を数多くやらせる。) 
 
としよう。
まったく同じ問題を解かせ続けるのは厳密反復型のみである。
数値変更問題反復型や一般類題反復型は、「同じ種類の問題」を多く
解かせるのであって、厳密な反復ではない。
もちろん、数値変更問題反復型と一般類題反復型の境界は、あいまいだ。
また、これらの中間型や組み合わせも考えられる。
しかし、ここでは、そのようなことは論じない。
それでも、以下の議論の本質は変わらないと思うからだ。
 
さて、これらの「反復型」のうち、一番良いのはどれだろうか。
もちろん(?)、「普遍的に一番良い方法」なんてないだろう。
しかし、特定の個人(自分とか、自分の子供たちとか)にとって、
一番良い方法はあるはずだ。
それを決めるためには、上記の方法の特徴を考えなければならない。
 
続く。