中学生の息子は普段男の友達の話しかしない。
しかし、一人だけ例外があった。いや、現在形で「ある」と言うべきか。
 
中学生になってもめったに女の子のことを口にしない息子だったが、
ある女の子Aちゃんのことだけは、たまに話していた。
休み時間での他愛もない会話。「今日こんなこと言ってたよ」とか。
私も妻もピンと来るところがあったが、黙って聞いていた。
私はAちゃんのファンなので、心の中では、いつでも嫁に連れて来いと、
まあ、思っていたわけだ。
 
ところが、あるときを境にAちゃんのことは何も言わなくなった。
「Aちゃん、どうしてるの?」と水を向けても、「よく知らない」。
そのかわり、別の女の子Bちゃんのことを話すようになった。
もちろん(?)、主に男の友達(というか部活のメンバー)の話しか
しないが、たまに。
やっぱり、休み時間なんかのちょっとした会話のことだ。
 
気持ちが移ったのかな。まあ、そんなこともあるんだろう。
と思っていた。
ところが、最近、また話題にする女の子がBちゃんからCちゃんに変わった。
さすがに変だ。と思った。
で、聞いてみた。
「なあ、おまえ、Cちゃんとはそんなに仲良くなかったんじゃない?」と。
 
すると、息子は、「特に仲が良いんじゃないよ。席が隣なんだよ」。
えーと、ちょっと待てよ。
確か、はじめはAちゃんが隣だったよね。
その頃、Aちゃんの話をよくしてたんだよな。
で、その後、席替えで、Bちゃんが隣になった。
確か、その頃から、Bちゃんのことを話すようになった。
確かそうだな。で、今また席替えで、Cちゃんが隣。
で、今はCちゃんの話しかしない、と。
 
つまり、こういうことかな。
おまえが話題にする女の子は、隣に座ってる子だと。
えーと?それ以外の女の子とは話さない?
 
私はこの事実に気がつくと、即、ダンマリを決め込むことにした。
ところが、今日、妻も気がついたらしい。
そして、笑うこと笑うこと。
「え?なに?じゃ、話をする女の子は席だけで決まってるの?」
いや、まーそーだけど、そりゃ、笑いすぎだよ。
 
がんばれ息子。