おっさんin代数幾何ワールド(途中まで)5

ハーツホーンを読んでいると妻が聞く。「その本わかって読んでる?」
少なくとも3回は聞かれた。
 
結婚して20有余年。
ずいぶん本を読んできたが、こんなことを聞かれたことは、他に無い。
更に言えば、最近、何度目かのマイ数学ブームで複数の数学書を平行して読んでいる。
(「読み止しの本をあちこちに置かないで」と怒られている。)
にもかかわらず、「その本わかって読んでる?」と聞かれるのはハーツホーンだけだ。
他の本では聞かれない。
ハーツホーンと見た目そっくりなマックレーンでも。
 
そして・・・。
ここがもっともおそるべきところなのだが、他の本はみんなわかって読んでる。
しかし、ハーツホーンだけは、わからずに読んでいるのである!
なぜ私がわかっていないとわかるんだろう。
妻としてのカンなのか、職業的なカンなのか?
と、聞いてみたら、ニンマリ笑って「職業的なカンかもね」と。
 
第2章スキーム 2.5加群の層
環付き空間 (O, O_X) 上の層 F で F(U) が O_X(U) の加群になっているとき、
これを O_X 加群の層という。もちろん、わかっていますよ。
加群に付随するアレコレを加群の層で考えることもできる。
(射、核、余核、像、商、完全系列、テンソル積)
 
O_X 加群 F が O_X のいくつかのコピーの直和と同型であるとき自由という。
X の開被覆の各開集合 U に対し F(U) が自由 O_X(U) 加群のとき、局所自由という。
直和成分の数を階数という。
階数が1の局所自由層を可逆層という。
 
加群の層 I で I(U) が O_X(U) のイデアルであるとき、I をイデアル層という。
 
環付き空間の射に応じて、加群の層に順像、逆増ができる。
順像は普通に f_* F、逆像は f^* F と書くがその実態は f^{-1} (×)_{f^{-1}O_Y} O_X 。
 
Hom_{O_X}(f^* G, F) 〜 Hom_{O_Y}(G, f_* F)
 
A を環とし、M を A 加群としたとき、Spec A 上の M に付随する層を M~ とする。
M~(U) は U から M の局所化の直和への、商の形の値を持つ関数の集合である。
 
M~ は O_X 加群である。
(M~)_p 〜 M_p
M~(D(f)) 〜 M_f
M~(X) = M
(手品師が鳩を仕込みました。すると帽子から出てくるのはやっぱり鳩。みたいな?)
 
M --> M~ は A 加群の圏から O_X 加群の圏への完全かつ充満忠実な関手。
(M (×)_A N)~ 〜 (M~ (×)_{O_X} N~)
0 が完全列で、F' が準連接とする。
すると、0 -> F'(X) -> F(X) -> F"(X) -> 0 も完全。
 
任意の準連接層の射の核、余核、像は準連接。
準連接層の任意の拡大も準連接。
X がネーターのときは、連接層についても同様。
 
f : X --> Y をスキームの射とする:
 G を O_Y 加群の準連接層とするとf^* G は O_X の準連接層。
 X、Y がネーターのとき、G が連接なら f^* G も連接。
 X がネーターであるか、f が準コンパクトかつ分離的のとき、
 F が O_X 加群の準連接層なら、f_* F は O_Y 加群の準連接層。
 
Y を X の閉部分スキームとし、i : Y --> X を包含射とする。
このとき、Y のイデアル層 I_Y を i^# : O_X --> i_*O_Y の核として定義する。
 
I_Y は X 上の準連接層である。
X がネーターなら連接である。
逆に任意の準連接イデアル層は X の一意的に定まる閉部分スキームのイデアル層である。
 
X = Spec A をアフィンスキームとする:
A のイデアル a と X の閉部分スキーム Y の間には、「a -> X 内の Spec A の像」による
一対一対応がある。
特に、アフィンスキームのすべての閉部分スキームはアフィンスキームである。
 
次数付環 S でも、これまでと同様にして、次数付加群 M に付随する Proj S 上の層 M~ が
定義できる。
 
X = Proj S とする:
 (M~)_p 〜 M_(p)
 M~|D_+(f) 〜 (M_(f">*1
~
 M~ は準連接 O_X 加群
 S がネーターで M が有限生成なら M~ は連接。
 
X = Proj S に対し、O_X(n) を S(n)~ と定義する。
O_X(1) をねじり層とよぶ。
F (×)_{O_X} O_X(n) をねじった層とよび、F(n) と書く。
 
O_X(n) は X 上の可逆層。
M~(n) 〜 (M(n))~
O_X(n) (×) O_X(m) 〜 O_X(n + m)
f^*(O_X(n)) 〜 O_Y(n)|U
f_*(O_Y(n)|U) 〜 (f_*O_U)(n)
 
F に付随する S 加群を Γ_*(F) = (+)_Z F(n)(X) と定義する。
  
Γ_*(O_X) 〜 S
 
S を次数付環で、S_0 代数として S_1 で有限生成されているものとする。
X = Proj S、F を X の準連接層とする。
すると、自然な同型 Γ_*(F)~ 〜 F がある。
 
Y を P^r_A の閉部分スキームとすると、斉次イデアル I で
Y が I で決められる閉部分スキームとなるものがある。
 
Spec A 上のスキーム Y が射影的であるのは、ある次数付環 S の Proj S に同型であるとき、
そのときに限る。
 
P^r_Y 上のねじり層 O(1) を g : P^r_Y --> P^r_Z に対する g^*(O(1)) で定義する。
 
X が Y 上のスキームのとき、X 上の可逆層 L が Y に対して非常に豊富であるとは、
ある r に対して、i : X --> P^r_Y がり、埋め込み i^*(O(1)) 〜 L であることをいう。
 
Y をネータースキームとすると、スキーム X が Y 上射影的であるのは、
固有であり、X 上に Y に対して非常に豊富な層があるとき、そのときに限る。
 
F が大域切断で生成されているとは、茎F_x を大域切断の像が生成することをいう。
 
F が大域切断で生成されるのは、F が自由層の商として表されるとき、そのときに限る。
 
X をネーター環 A 上の射影スキームとし、O(1) を X 上非常に豊富な可逆層、
F を連接 O_X 加群とする。
このときある整数以上の n に対して F(n) は有限個の大域切断で生成できる。
 
X をネーター環 A 上射影的とする。
すると、X 上の任意の連接層は層 E の商で表される。
ただし、E は整数 n_i だけねじった O_X(n_i) の有限個の直和である。
 
A を有限生成 k 代数、X を A 上の射影スキーム、F を連接 O_X 加群とする。
すると、F(X) は有限生成 A 加群である。
特に、A = k のとき、F(X) は湧現次元 k ベクトル空間である。
 
f : X --> Y を体 k 上の有限型スキームの射影的射とし、F を X 上の連接層とする。
すると、f_* F は Y 上の連接層である。
 

*1:+)M_i)~ 〜 (+)M_i~   環の準同型から導かれる f : Spec B --> Spec A に対し、 B 加群 N に対して、f_*(N~) 〜 (A_N)~ A 加群 M に対して、f^*(M~) 〜 (M (×)_A B)~   スキーム X が開アフィン部分集合 U_i = Spec A_i で覆うことができ、 各 i に対して A_i 加群 M_i が存在し、 F|U_i 〜 M_i~ となるとき、F を準連接という。 さらに、M_i が有限生成 A_i 加群と取れるとき連接という。   F が準連接であるのは、X のすべての開アフィン部分集合 U = Spec A に対して ある A 加群 M が存在して F|U 〜 M~ になるとき、そのときに限る。 X がネーターのとき、F が連接になるのは、上記に加えて M が有限生成 A 加群であるとき、 そのときに限る。   M --> M~ は A 加群の圏と準連接 O_X 加群の圏の間の同値を与える。 A がネーターのとき、有限生成 A 加群と連接 O_X 加群の圏の間の同値も与える。   0 -> F' -> F -> F" -> 0 が完全列で、F' が準連接とする。 すると、0 -> F'(X) -> F(X) -> F"(X) -> 0 も完全。   任意の準連接層の射の核、余核、像は準連接。 準連接層の任意の拡大も準連接。 X がネーターのときは、連接層についても同様。   f : X --> Y をスキームの射とする:  G を O_Y 加群の準連接層とするとf^* G は O_X の準連接層。  X、Y がネーターのとき、G が連接なら f^* G も連接。  X がネーターであるか、f が準コンパクトかつ分離的のとき、  F が O_X 加群の準連接層なら、f_* F は O_Y 加群の準連接層。   Y を X の閉部分スキームとし、i : Y --> X を包含射とする。 このとき、Y のイデアル層 I_Y を i^# : O_X --> i_*O_Y の核として定義する。   I_Y は X 上の準連接層である。 X がネーターなら連接である。 逆に任意の準連接イデアル層は X の一意的に定まる閉部分スキームのイデアル層である。   X = Spec A をアフィンスキームとする: A のイデアル a と X の閉部分スキーム Y の間には、「a -> X 内の Spec A の像」による 一対一対応がある。 特に、アフィンスキームのすべての閉部分スキームはアフィンスキームである。   次数付環 S でも、これまでと同様にして、次数付加群 M に付随する Proj S 上の層 M~ が 定義できる。   X = Proj S とする:  (M~)_p 〜 M_(p)  M~|D_+(f) 〜 (M_(f