新数学読書法3

よく「子供が母国語を覚えるように学習する」と言う。
私が今書きたいのはそういう方法だと思う。
 
ただ、「子供が母国語を覚えるように」というセリフには「楽に」という響きがある。
私は子供は「楽に」勉強などしていないと思う。
人生をかけて全力で勉強していて、その量は大人のそれをはるかに上回るのではないだろうか。
 
ま、それはさておき。
子供に話しても仕方がないのだが、大人子供の人(それは自分)に物語の読み方のアドバイスしたい。
 
・あまりはじめから突っ込むな。
「え?おばあさんは川で洗濯?そういう話ってジェンダー的に問題があるよね?」とか
「桃から人が生まれる?」とか「犬がしゃべるわけないよね?」とか言わない。
「ユニバースってなんかあやしいんだけど」とかも言わない。
いや、言ってもいいと思うけど、先に進もう。
 
・登場人物はなるべく覚えよう。
「え?犬が赤鬼に吠え掛かり、猿が青鬼をひっかいて、、、。犬って誰?猿なんかいた?」とか
言ってると物語に入っていけない。
「左随伴は余極限を保存する?左随伴・・・は良いとして、余極限って誰だっけ?保存って何?」とか
言ってると入っていけない。
(極限を逆極限と言い、余極限を順極限と言うのは正直やめてほしい。あと、直極限とか、おひおひ。)
 
・登場人物の定義にこだわりすぎなくてもいいのかも?
怒られそうである。息子は「そのくらいすぐ調べなよ。ネットもあるんだし」と言う。
確かにその通りだが、あんまりこだわってると進めないような気もする。
桃太郎を聞いたとき多くの子供は「キジって何?」と思ったと思う。
「鳥の一種だよ」と言われて納得できるのか?
でも、納得した方がよいときも多いと思う。
圏論の基礎を読んでいて「コンパクト生成ハウスドルフ空間って何?」と思う子供も多いと思う。
 
・はじめはおおざっぱに読もう。
と、思う。
「え?ちょっと待って、おばあさんは川で洗濯、おじいさんは山で柴刈り。オーケー」。
「あ。えーと、洗濯してたのはおばあさん。川でね。川。川。で、柴刈りはおじいさん。
 裏山だっけ?え?ただの山。オーケー。ただの山。ただの山」と言ってると難しい。
最初は気楽に聞いていいじゃん?
 
・繰り返しに注意しよう。
桃太郎では「キビ団子をあげて家来にする」くだりが3回も出てくる。
桃太郎を話す大人は決して「同じことが2回ありました」とは言わない。
なぜ繰り返すのかと言うと、そこがおもしろいからだ。
なお、物語で3回程度の繰り返しはものすごく多いが、三匹の子ブタでは3回目にどんでん返しがある。
数学も、桃太郎型あり、三匹の子ブタ型ありだと思う。
ただ、数学書では、「同様である」は結構ある。
「同様なので読者の演習とする」はカンベンしてほしい。
 
・繰り返し読もう。(繰り返し聞こう。)
子供の頃、好きなお話を何度読んだ(読んでもらった)かわからない。
数学書だって、何度も読んでいいぢゃないか。
ちなみに、物語は、大人に読んでもらった方が楽しい。
私に数学書を読んでくれる人はいない。
(ちなみに、アメリカの大学が数学の講義の録画をネットで公開している。
 そもそも英語は難しいし、もごもごしてるので音量を上げて見たいのだが、
 なぜかそのカメラのすぐわきでやたらセキをする奴がいて、こちらは飛び上がってしまう。
 ただ、これから講義のネット公開は増えるような気がする。)
何度も読むことで理解が深まるということはあると思う。
 
まだ続くかな?