やさしい息子

私が大学院の時途中まで読んだ本を、息子にあげた。
その頃から私は読んだ本に線などを引くようになっていたのだが、息子の奴、
「あれ?書き込みがここで終わってる。ということは、親父、ここで挫折したんだ」。
あうっ。そ、そうだと思うよ。
 
あたふた言っていたら、「親父、これが専門じゃないし、専門で忙しかったんだよな」
なんて、やさしいことを言う。
何事につけ、私より自分の方が優秀であるということを主張していたあの息子が。
それに、お父さんが20代に読んだ、いや、読みかけた本を18才で読めるんだな。
おおう。大きくなったな。
 
その話を聞いていた妻は、もちろん大喜びである。
(息子が私に勝つと、それがなんであれ、ものすごくうれしいらしい。)