落窪の何がおもしろかったのか

巻1と巻2のはじめまではおもしろかった。
その理由くらい書いておきたい。
少なくとも、そこまでは絶賛していたし、その気持ちは変わらないのだから。
 
たとえば、お母さんが子のためにしたことを、子が(本人のいないところで)「古臭い」と笑う。
でも、お母さんへの感謝の気持ちがないわけではない。
あるいは、どうもよろしくない企てに乗っかって自分の思いを遂げようとする小人物がいる。
そういう小人物ではあっても、「人のよさ」もあって、けっこう間抜けな行動をしてしまう。
 
と、まあ、要するに、主人公がどうしたこうしただけでなく、脇役はもちろん、
悪役も、ときには端役まで含めて、いろんな人の物語になっているのである。
しかもそういう記述が、非常にすっきり短くさらりと書かれているのに感心させられたのである。