娘の数学道3

世の中には、単純なことなのに、伝わらないときには伝わらない、一度混乱すると、
そうとうやっかい、それなのに、内容は単純、、、ということがある。
 
たとえば「求める数をxとおく」などという考え方だ。
この話はずいぶん昔に書いた。
http://d.hatena.ne.jp/oh1234/20091031
この気持ちに変わりはない。
 
が、高校生バージョンを書いてみようと思う。
 
問:
イヌリンは植物がつくる多糖類で、ヒトの体内では利用されない。
イヌリンを静脈に注射すると、糸球体ですべてろ過され、
再吸収されることなく尿中に排出される。
たとえば、あるヒトの原尿におけるイヌリンの濃度は0.01%であったが
尿中では1.0%になっていた。
尿が毎分1ml生成されるとすると、毎分何mlの原尿が生成されているか。
 
うーーー。
生物の問題である。
私は、生物はなるべく触りたくないのだが、娘が勉強中だからしかたがない。
(息子もそうだが、私には全然わからないことをやっている。ま、当然だが。)
上の問題は、用語になれていないと面食らうが、実は、算数の問題である。
全然難しくありません。
 
まず、イヌリンの濃度が0.01%から1.0%になった(有効数字?)んだから、
100倍に圧縮されたわけ。
で、圧縮された尿が1ml/分なんだから、原尿は100ml/分でした。
 
はい、ちょろいですね。
なんて言えないのである。
たぶん、普通の高校生にこれはちょろくない。
教科書に、「圧縮率は、尿での濃度/原尿での濃度」なんて公式があった。
 
で、私は、娘に、次のように説明した。
 
原尿での濃度 = イヌリンの量/原尿の量
尿での濃度 = イヌリンの量/尿の量
 
イヌリンは再吸収されないので、原尿でも尿でも同じ。
だから、ちょっといじると、
 
原尿の量/尿の量 = (イヌリンの量/原尿での濃度)/(イヌリンの量/尿での濃度)
        = 尿での濃度/原尿での濃度
 
娘は、説明を聞いて、わかったと思う。
しかし、じっくりひとりで考え直す必要があるように思う。
たとえば、
 
イヌリンの量 = 原尿の量 x 原尿での濃度 = 尿の量 x 尿での濃度
 
なんて考えてもよいだろう。
 
こういうことは、説明はできるけれど、それをどう受け取るかは、
本人の人格によると思うのだ。
娘よ。がんばっておくれ。