バブル素人考

バブルがはじけてもしばらくはあまり実感がなかった。
みんな海外旅行とかばんばん行って。
それを「今は企業が蓄えた富が労働者に還元されるフェーズ」と説明する人がいて、
なるほどと思ったものである。
 
それからだんだん、不況の様相も本格化してきた頃、理系仲間で「バブル期のお金は
いったいどこから来たんだろう」という話になった。
「ただお金がぐるぐる回っていただけ」という説明もあったが、それにしては、
お金がどこかから湧き出しているようだったのだ。
で、金融の専門家がひとり知り合いにいて、たまたまみんなで聞く機会があったのだが、
何を言ってるんだか、ほんとーにわからなかった。
 
我々理系(数学者を除く、笑)は、たとえば、エネルギーの保存則のようなものを考える。
お金に保存則はないようだ。
が、富には保存則があるらしい。
で、お金が増え、結局、富が増える理由はよくわからなかった。
 
そうこうしていると、仲間の一人が、笑顔でやってきた。「仕組みがわかったよ」と。
別の専門家に聞いてみてわかったと言う。
「細かいことを省いて簡単に言うと、お金は未来からやってきてたんだって」と言う。
つまり、「我々は、子孫(?)のお金で飲み食いどんちゃん騒ぎをしていたのだ」と。
 
一同、その説にはものすごく得心がいったのだった。
 
で、思うのだが、バブル期に現れたあのお金(というか、富)は、今まさに、この時代から
吸い上げられているように感じる。
日本のどこかに穴があいていて、そこから昔に向かって「我々の富」が流れて行っているようだ。
(その結果デフレになったというより、それに対抗するためデフレになったような。)
 
バブル期、私は、社会人直前だった。
「我々には責任はない」と言いたいところだが、まあ、その恩恵を受けた世代ではあろうし、
そのための責任もあろう。
一方、バブル崩壊後に生まれた子供たちは気の毒である。
だが、それも、「運命」と言えなくもない。
 
しかし、あの時代にバブルを引き起こし、十分に恩恵を得た老人たちが、「夢よ再び」とばかり、
またバブルを呼ぼうとしているのには、ハラワタが煮えくりかえる思いである。