親父の正義

私の親父は「正義の人」かどうか、あやしい。
しかし、スイッチが入ることがある。
(問題は、親父の正義と私の正義がけっこう一致しないことだ。)
 
もう時効だろうと思うのだが、昔、親父の会社でちょっと問題が起こったという。
結局、結論は「白」であり、法的問題はなかった。
が、そういうことの背景には、「合法だがよくない慣行」があったという。
そのため、社長以下、主流派のみなさんは更迭され、新社長がやってきた。
(親父は、反主流派ではなく、非主流派だったらしい。)
 
新社長は施政演説で「旧弊の一掃」を述べたらしい。
が、具体案を聞くと、それは旧態依然としたものだったという。
(親父談である。しかし、なんかそういうの、目に浮かびません?)
そこで、どういうわけかスイッチが入って、新社長が本腰をいれていないことを
エンエン批判したらしい。
それを聞いていた親父の部下が母親に報告してくれたことによると、新社長は
一言も反論できず、「会議室が凍りつくようなものだった」という。
 
小さな会社だった(ごめんなさい)が「あと1、2年で取締役」と期待していたそうだ。
しかし、その会議の○ヶ月後、事務員が1人いるだけの子会社に出向となり、
その道は断たれてしまった。
(「その会社の取締役」にはなったわけだが。)
 
その親父が、その事件のずっと前から、私によく言っていたことがある。
「いいか?上司には逆らうなよ。人前での批判などとんでもない。
 上司が間違ったことを言っていたら、こっそり教えてやればいいんだ」と。
 
いやーどの口が言ったんですかい。と、私は思ったものである。
しかし、まあ、私は親父を断固支持するものである。