高校生のための不等式入門(?)
不等式をおもしろいと思ったことはない。
大学に入ると、ナントカの不等式とかいうのがやたら出てきて、「不等式は大事」と
いうことはわかる。でも、なんだかね〜。
それでも、娘が高校に入って不等式を勉強しているようなので、重い腰を上げてみた。
で、次のようなことを考えた。
今、ふたつの変数x、yについて、
1 < x < 2 A
1 < y < 2 B
が成り立っているとする。そのとき、「x + y と x - y の範囲を求めよ」と言われたら、
まず、
2 < x + y < 4 C
はすぐに出る。不等式は辺々足してよいからだ。しかし、うっかり、辺々引いて
0 < x - y < 0
としていはいけない。
なぜかと言うと、辺々引いてはいけないからだ。
しかし、yについての不等式に-1をかけて向きを変え、「-2 < y < -1」として、辺々足すと、
-1 < x - y < 1 D
となる。
ここまで、ややこしいけれど、よく考えてわかっておく必要がある。
さて、次に、CとDを辺々足すと、
1 < 2x < 5
となる。不等式は辺々足してよいので、まったく合法的な処理である。
これを2で割るのも合法であり、その結果は
1/2 < x < 5/2 E
となる。
同様に、Cと-Dを辺々足し、2で割ると、
1/2 < y < 5/2 F
が得られる。
ここまで何も悪いことはしていないのだが、A、BとE、Fを比べてみると、あれ、
x、yの範囲が増えちゃったぞ、と。
すでに、必要条件、十分条件を習っているなら、次のように考えよう。
式変形とは、一般に、必要条件の連鎖を作っていくことであって、その結果、範囲が増えたり、
不適な解が付け加わったりとオマケが増えていくものなのである。
ただし、オマケが増えているだけで、「もともとのもの」「正しい答」「必要十分なもの」は
消えてなくなってはいないことに注意しよう。
上の例で言うと、E、Fは、A、Bの範囲を含んでいるのである。