娘の熱弁

妻が「昨日の夜、三人で大騒ぎしてなかった?」。
そう言えば、妻だけ別室にいたのだが、私と息子と娘で大笑いしたのだった。
 
誰かに聞かれたわけでもなく、娘が、ひとりで熱弁していた。
それは、何かの身分証に書く年齢についてであった。
中学校で渡されたもので、年齢を書く欄があるのだが、この時期、娘たちは14才と
15才にわかれている。そして、そこは、どちらを書いてもいいと言われたらしい。
つまり、まだ14才の子も、在学中に15才になるのだから、15才と書いていい、と。
 
「でもね。14才は14才って書くべきだと思うの」と娘は言う。
「私はまだ14才なんだから、14才って書かなきゃ」と。
私も息子も黙って聞いていた。
たぶん、この時期、ちょっと背伸びしたい子は、15才になっても14才と書いてある
身分証明書を使い続けるのが嫌で、14才でも15才と書いたのだろう。
 
それから娘はその身分証を出して見せてくれようとした。
そして、「あれ?15才って書いてある」。
書いたのは自分である。
つまり、娘は、どういう事情かで、実は自分で15才と書いていたのだ。
「あれ?おかしいな?どうして?」と言う。
 
もちろん、私と息子は大爆笑である。
息子がころがって笑うのなんか久しぶりに見ちゃったのである。
その姿を見て娘も笑い出した。
かわいい子供たちよ。