息子と勉強したこと

「子供の勉強に関する思考実験」ってのはいかにも変なタイトルだった。
なぜ、思考実験などと書いたかというと、「我が家の実情(内情)」とは
結び付けたくなかったからだ。
が、やっぱり、1つだけ書いておきたくなった。記録として。
 
息子が中2くらいのときだった。
模擬試験を受けさせたら、おもしろいことに、「問題別偏差値」というのが出いていて、
代数系では偏差値が60台なのに、幾何系では30台だった。
それまで受験的な問題はやらせていなかったので、なかなか良い点だと思った。
が、やっぱり、幾何系にはちょっとテコ入れが必要だろうと思った。
 
そこで、幾何だけの問題集を買ってきて、(ほぼ)毎日やることにした。
問題は、「5問中4問は解ける」という程度だったので、ちょうどよいと思ったのだ。
当時、反抗期にはいりかけ(?)で、なかなか大変だったが、とにかく一緒に、
中断をはさみながら、3ヶ月くらいやってみたのだった。
やり切ったら、自信がついた。息子にというより私に。
もう幾何の問題は大丈夫だろう、と。
 
そして、また、模擬試験。
当然、すばらしい点を取ってくるだろうと思ったら、あれ?
幾何の問題ができなかったとか。
「だって、こんなに難しい問題だったんだよ」と見せてくれた問題は、え〜と、
それ、前回の模擬試験の問題とほとんど同じ内容のものでは?
 
う〜む。教育は難しい。
と思ったものである。
 
息子は、中3になって、塾に入り、徹底的に鍛えてもらって、模擬試験でもずいぶん
良い点を取るようになった。
明らかに同年代の私よりはずっと上だろう。
「おまえ、中2のとき、こんな問題を難しいって言ったんだぞ」と模擬テストを
見せると、「ふふん」と鼻でお笑いになる。
たいしたものだ。
 
さらに言うと、その問題集を最近発掘して、「ほら、前に、お父さんとこれやったよな」と
言うと、きょとんとした顔をして、それから「ああっ。やったね」。
ううう。お父さんは・・・。
 
しかし、である。
信仰のようなものかもしれないが、私は、あの「問題集解き」は
すばらしいものだったと思っているのだ。
そのとき即効的な結果が見えなくても、その後あんまり記憶に残っていなくても、
あれはとても良いものだったと。
 
息子と一緒に問題集をやる時間は、私には、とても楽しい時間だった。
発掘されたあの問題集は娘に引き継がれた。