人はいつ大人になるのか

去年の冬、息子が某中学の入試問題の改題(国語)を解いていたときの話。
問題文に次のような場面があった。
 
主人公が好きな女の子と主人公のライバルが楽しそうに話をしている。
主人公は、「特に用もなく」話に割ってはいる。
ただその女の子とライバルの視線をはずしたかったから。
 
私が、「なんで話に割って入ったかはわかるよな?」と聞くと、「わからない!」と言う。
うろたえる私。「え?わからない?」畳み掛けるように、息子が言う。
「用も無いのに人の話を邪魔するのはすごく悪いことだよ!!!」
息子は、鼻をならして、本気で怒っていた。うん、うん、そうだね、としか言えなかった。
そのとき、私は、「中学受験は無理だな」と思った。
そして、その晩、受験をさせたがっていた妻にコンコンと説明をしたのだった。
 
今日、たまたま、その問題文が目に入った。
娘にも聞かせてやろうと、私が音読し、同じ質問を娘と息子にしてみた。
「なんで用もないのに話に割って入ったのか?」
娘は、「主人公が嫌がることを、みんなで話してると思ったから」。なるほどねえ。よしよし。
確かに、その場面の直前に、「(他の)みんなが嫌なことを言ってるような気がする」
という記述がある。そこから類推したんだよねー。それは違うんだけど、でも、それでいいんだよ。
ついで、「○○ちゃん(←娘のこと)は、好きな男の子とか、いる?」と聞いてみた。
「いない」。よしよし。それで、いいんだよ。うんうん。
息子の方は、「え?ちゃんと書いてあったじゃん。視線をはずしたかったって」。
「と、言うことは、おまえ、ちゃんとわかってんの?」と言うと、怪訝そうに、「え?何が?」。
そこで、去年の話をした。この問題文のことは覚えていたが、自分が「用も無いのに人の話を」と
言ったことは忘れていたらしく、それを聞くと大笑い。それから、「俺、すげーっ。俺、最高ーっ」。
 
なんだ、1年でわかるようになるじゃんか。
人は、いつ、どんな風に大人になっていくんだろうか。