仮想授業

あなたはニーホン国(日本によく似た、仮想の国)の「外国人を教育する先生」である。
ニーホン国では、外国人に古来の物語を教え、彼らに試験を行い、成績が良ければ合格、
悪ければ母国に強制送還、、、となっていたとしよう。
物語はたとえば「桃太郎」で、「おばあさんは川で何をしていましたか?」とか
「桃太郎の家来は何でしたか?」とか「鬼の罪は何でしたか?」とか
「桃太郎に倒されるときの鬼の気持ちはどうでしたか?」などが出題される。
もちろん、鬼の気持ちなどは物語にないので、物語の展開にあった推測を「正しく」語ることが
できればよい。
 
まず、「桃太郎」を教える。
で、生徒(=外国人)に読ませてみると、全然読めない。
聞いてみると、「洗濯」とか「お供」などという単語がわからないという。
「きびだんご」とか「鬼が島」のような、日常会話に必要かどうかわからないが、そういう
特殊な単語でも悩んでしまうらしい。
 
さて、みなさんなら、どうしますか?
普通に考えられるチョイスは以下のようなものだろう。
 
・桃太郎は横に置いて、出てくる単語の解説をがっつり先にする。
・桃太郎を読みながら、出てくる単語の解説を相応にする。
・もっとやさしい物語を読ませる。
・単語の意味はなるべく軽く解説し、何度も読み聞かせる。
・単語の意味は解説せず、何度も読み聞かせる。
 
ここで、議論してもはじまらないので、「桃太郎を読みながら、出てくる単語の解説をする」を
選んだとしよう。
そうして、ゆっくり最後まで読んで、生徒に聞いてみると、ほとんどの生徒が「全然わからない」
「内容を全く思い出せない」などという。中には「わかった」という生徒もいるので、
「じゃあ、みんなに説明してください」と言うと、「桃太郎には3匹の子ブタの家来がいた。
 みなで協力して狼をやっつけた」などと言いだす。
(「違うよ」と言うと、「そんなはずはない」と言いながら涙目になったりする。)
 
さて、みなさんなら、どうしますか?
 
これは、数学を教えるときに起こることをたとえ話にしているのである。
(英語の授業のたとえ話と思った人、手を挙げて。それでもいいですが、数学も同じなのです。)
続く。