息子語録
遠くの方で妻と息子の会話が聞こえる。ような気がした。
「親父さぁ、俺が数学の話をはじめるとつらそうな顔をして逃げてくんだよなぁ」などと。
いや、聞き違いかもしれない。
そんな息子の奴。
1000ページ近い数学書を持ってくる。
なになに、えーと、ハイヤ〜○ポス〜。
息子が読んでる本だが、私にも読んでほしいらしい。
「早く言葉が通じるようになってほしい」とか。
ずいぶんと読みでがあるな。
ま、いいでしょう。
で、言ってみた。
「それでお父さんがこの本を1ヶ月くらい抱っこしてて、それでどうにもならなかったら
お前には数学の才能がないってことになるけど、いいよな?」
意味がわからなかったらしいので、補足説明した。
「お父さんに数学の才能がないってことになれば、お父さんの遺伝を受けているお前にも
当然ないってことだろ?」と。
「え、え〜っ。何言ってんの?あまりの論理の飛躍ではじめ理解できなかったよ。
そもそも、"数学の才能"なんて言ってる段階で、数学の才能があるとは思えないな。
数学の本を読むだけなら才能なんかいらないんだから。
それに、老後の楽しみで数学の本を読もうという親父と、人生かけて数学を勉強してる俺と
比べられるわけないじゃん」などと、珍しく動揺した様子。
ふっふっふ。言ってやったぜ。
横で聞いていた妻が激怒したことは言うまでもない。
「お父さんの遺伝なんか全然関係ないっ。○○(息子)は○○(息子)なんだからっ」。
ふっふっふ。言ってやったぜ。
そんな息子、前日にこんな話をしていた。
「小学生の頃、親父にこう言われたことがある。
"これおもしろいだろ。これがおもしろくないなら数学の才能はないってことになるぞ"って」
ほう。なかなかなお父さんですな。
で、前述の数学本の話の日になり、さらに次の日にこんなことを言う。
「ねぇ、親父って、本当は数学に興味ないんじゃないの?
なんか、最近そんな気もするんだよね。
興味ないなら興味ないって言ってね。
俺も興味ない人に無理に話はしないから」
くぅ。興味、、、あるよ。数学好きだし。
それにしても、現役の数学科の学生が好き放題に話してるのについていけるわけあるか。
(なにやら質問してくるから一生懸命答えたら「親父の証明は空間のパラコンパクト性を
仮定してる。でもそれを仮定したら、この場合なんでもOKになるから」とかなんとか。
パラコンパクトなんて知らんよ。それおいしいの?
だいたい空間なんてみんなコンパクトなんじゃね?)
「興味ないなら興味ないって言え」って、私の親父(息子の祖父)にそっくりだった。
言い方も。
かわいい息子である。
ところで、私がそのハイヤ〜なんとかを読んでいると、10分おきに聞いてくる。
「親父、わかった?」
いや、そんなに早くどうにかなるもんでもあるまい。
と、言ったら、「これはいつも親父が俺達にやっていたことだよ」。
そうなんだ〜。へ〜。