世界史で使われている枠組みについて

既存の枠組みが使いづらい(というか、理解しづらい)ということの具体例を書きたい。
これは理系の世界史学習者の呻吟である。
 
教科書を読んでいると、たとえば、「西ヨーロッパの中世」という言葉に出くわす。
いかにもある種の「枠組み」っぽい言葉だ。
しかし、、、である。
「西ヨーロッパ」とは、たぶん、「ドイツ以西?」とあたりをつけるにして、
「中世」とはいつからいつまでのことなんだろう。
もちろん、厳密に定義できなさそうなのはわかるので、ざっくりいつからいつまで?
 
教科書には「カールの戴冠が西ヨーロッパ中世世界の成立を意味する」と書いてあるので、
まあ、800年頃からはじまったのかな?と思う。
しかし、「中世の文化」のところでは、6世紀頃の修道会の話がある。
すると、中世自体は6世紀くらいにはじまってたのかな?
西ヨーロッパが成立したのが800年ということで?
 
しかし、待てよ。
じゃ、中世自体はいつはじまったのかな?
そもそも中国の中世とヨーロッパの中世って違いそうだよな?
いや、中国に中世ってあるのかな?
あれはヨーロッパ特有の概念かな?
いや、特有と言うと、西ヨーロッパに特有とか?
だって、東ヨーロッパの中世って言葉あんまり聞かないし。
そもそも西ヨーロッパの中世の終わりはルネッサンスらしいけど、それってビザンツイスラームからの
文化の輸入なんだよね?すると、東ヨーロッパやオリエントには中世ってなかった?あれ?
あ、でも、日本史でも中世ってあったな。
あれは、えーと、鎌倉時代とか室町時代
封建制と関係あんの?
あれ、でも、中国の封建制って周の時代だよね。
あ、でも中国の封建制とヨーロッパの封建制って別物なんだっけ。
いやいや、それを言ったら日本の封建性も全然っ違うものらしいから、あれ、どうなの?
東南アジアの歴史なんて、紀元前からいっきに18世紀くらいまでいくけど、中世っていつ?
 
などとなってしまうのだ。
で、「中世って何?」が全然わからないので、枠組みとして採用できないのだ。
したがって、「中世西ヨーロッパ」とは、私にとって、「大きな枠組み」ではなく、細々した
1つの「局面」になってしまうのだ。